1993 Fiscal Year Annual Research Report
原子炉燃料棒支持用スペーサ近傍の熱除去特性に関する熱・流動工学的研究
Project/Area Number |
05452154
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
深野 徹 九州大学, 工学部, 教授 (60037968)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
後藤 昭和 九州大学, 工学部, 助手 (90234971)
角口 勝彦 九州大学, 工学部, 助教授 (60194867)
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Keywords | 混相流 / 原子炉 / 原子炉燃料棒 / スペーサ / バーンアウト / 環状流 / ドライアウト |
Research Abstract |
本研究の目的を達成するための実験装置を完成させた。その装置の概要は次のとおりである。 供試管:2重管から成り、加熱用内管は外径16.0mm、内厚1.0mmのインコネル製である。内径26mmの外管はパイレックスガラス製で環状流路の気・液二相混合体の流動を観察することができる。 冷媒流動系:強制対流の閉ループから成っており、供試管の上流には、貯水槽、循環ポンプ、流量計および予熱器があり、下流側には気水分離器と凝縮器を設置している。系の圧力が実験条件より低いことを除けば、この強制沸騰系の加熱系、測定系が本研究目的を達成するための能力を持っていることを確かめた。 垂直な2重管から成る供試管の入口から上方1225mmの断面に、実機の燃料棒支持用のスペーサを模擬した円筒状のスペーサ(長さ30.0mm、肉厚1.0mm、加熱管との隙間0.5、1.0、1.5mm)を設定した。 冷媒としては水を用いた。また実験条件は次のとおりである。加熱量(0〜300)kW/m^2、水の入口流速:(0.1〜0.25)m/s、これは質量流束にして(98.2〜491.0)kg/m^2s、入口サブクール度:10゚Kと20゚K、スペーサそう入断面のみかけの蒸気速度:(0〜約20m/s、これは、沸騰水型原子炉の作動条件の範囲である)。 実験ではスペーサ近傍の流れのようすと加熱断面を焼損(バーンアウト)させる原因となる液膜の破断が生じるプロセスを高速ビデオで観察する一方、その近傍の加熱壁面温度の測定を行った。得られた結果は次のとおりである。 1.ドライパッチの発生は、スペーサの下端近くの隙間内とスペーサのすぐ上流の領域に限られており、流動様式も環状流とフロス流の境界領域および環状流である。いずれも液膜が重力により瞬時下降する時機に生じる。 2.スペーサを保持しているスペーサピンは液膜の下降時にそれより下方へ水の補給を妨げており、ドライパッチの発生を促進している。 3.スペーサおよびスペーサピンは一方では冷却フィンの役割もしており、スペーサピンが接している加熱壁の温度はスペーサの材質の影響を受ける。
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