1994 Fiscal Year Annual Research Report
軸流圧縮機動・静翼列の過渡流れに関する実験と数値シミュレーション研究(旋回失速付近および突入・回復過程における流れ構造と制御)
Project/Area Number |
05452157
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Research Institution | Waseda University |
Principal Investigator |
吉岡 英輔 (大田 英輔) 早稲田大学, 理工学部, 教授 (50063699)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
太田 有 早稲田大学, 理工学部, 専任講師 (50211793)
田島 清ひろ 早稲田大学, 理工学部, 教授 (60063335)
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Keywords | 軸流圧縮機 / 旋回失速 / 翼列 / 数値流体力学 / 非定常流 / 渦 / 非定常流速計測 |
Research Abstract |
1.動静翼列系二次元数値シミュレーション 開発したN-S解析コードを用い,(3-12)動翼-(5-20)静翼列系(枚数比3:5)について高流量域から発達した失速域までの流れ場をシミュレートした.系の圧力-流量特性は圧縮機試験結果と対応し,設計点での動翼前方の流速の翼間分布や動翼後方の渦通過に伴う流速変動の特徴も熱線データとよく一致した.深い失速域では,動翼列前方と静翼列内とに互いに逆周りの巨大な渦が発達して失速セルを形成する.この渦対は軸方向にならんで動翼移動方向に伝播する“アクティブセル"構造(Cumpsty,1978)をとる.伝播速度は動翼速度の60%で,実機での55%とよく合う. 失速セルのスケールに応じて計算領域を翼列方向,軸方向に拡張することで,発達したセルの挙動を実験結果とも比較できるレベルでシミュレートできた一方で,計算時間が膨大になる問題も顕出した. 2.圧縮機実験計測 計算で得られた発達した失速セル内部の動翼前方における巨大なポテンシャル渦を確認するため,動翼前方にてX型熱薄膜プローブを用いた非定常計測を行った.計算結果と同様に,セル通過に伴い周方向流速が零付近の正常レベルから動翼速度レベルにまで到達することが判明し,動翼上流に強い循環を持つ渦が存在することを確認した.計算では渦に誘起される逆流域が現れるが,熱線は積分された熱損失を示すので逆流を識別できない.計算した流れ場から有効冷却速度をセンサ長にわたり積分して熱線出力を模擬した結果,実際の熱線で得た“軸流速度"の時刻歴に現れるバースト変動に酷似した変動が逆流域で得られることが判った.実機のセル内部にも強い逆流域が存在するものと推察された. 三次元流計測に関しては,考案・試作したX/スプリット複合型三次元熱薄膜プローブの基本特性を自家製作した検定風洞により調査し,測定方程式系を構築した.設計運転状態の実機動翼列後方での流れ場を計測・二次流れを抽出し,翼先端漏れ渦やハブコーナ渦,ウェーク内の半径流れの様相を明らかにした.精度の問題は残るものの,失速に関与する変動成分を抽出するのに有用なプローブであることを確認した. 小型軸流機に関しては,動翼列上流にフェンスを設け,失速域において作動点の圧力上昇を準定常的に推移させる(アブラプトストールを回避する)制御法を構築するための基礎データの収集を進めた.
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Research Products
(5 results)
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[Publications] Eisuke OUTA(吉岡 英輔): "An N-S Simulation of Propagating Stall Phenomena in a 2-D Compressor Cascades System." 日本機械学会第71期通常総会講演会講演論文集. Vol.3. 331-333 (1994)
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[Publications] Eisuke OUTA(吉岡 英輔): "An N-S Simulation of Stall Cell Behavior in a 2-D Compressor Rotor-Stator System at Various Loads." The 30th ASME International Gas Turbine&Aeroengine Congress (Le Hague,the Netherlands,1994年6月).ASME Paper 94-GT-257.(1994)
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[Publications] Eisuke OUTA(吉岡 英輔): "A Numerical Study of Propagating Stall in a 2-D Compressor Rotor/Stator Cascades System." The 7th International Symposium on Unsteady Aerodynamics and Aeroelasticity of Turbomachines (福岡,1994年6月).論文集は印刷中.
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[Publications] 大田 英輔(吉岡 英輔): "圧縮機動・静翼列系における旋回失速の二次元NS数値解析(深い失速セルの構造および非定常計測との比較)" 日本機械学会第72期通常総会講演会(1995年3月)にて発表予定.(1995)
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[Publications] 大田 英輔(吉岡 英輔): "旋回失速流れとその制御 -軸流圧縮機における近年の成果-" 日本ガスタービン学会誌(1995年3月号)に掲載予定.22-88. 54-60 (1995)