1994 Fiscal Year Annual Research Report
微小傾角基板を用いた単一電子トンネル・デバイスの研究
Project/Area Number |
05452200
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Research Institution | Toyo University |
Principal Investigator |
菅野 卓雄 東洋大学, 工学部, 教授 (50010707)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
神田 洋三 東洋大学, 工学部, 教授 (70041845)
村山 洋一 東洋大学, 工学部, 教授 (40057956)
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Keywords | シングル・エレクトロニクス / 単一電子デバイス / クーロン・ブロッケイド / トンネル現象 |
Research Abstract |
(100)面を<110>方向に4°傾けたシリコン基板を超高真空中で通電フラッシングすることにより、単電子層及び2原子層ステップを有し、テラス長が80Å程度の基板の製作に成功したことを走査型トンネル顕微鏡で観察することに成功し、さらにこれに電極用金属を斜め蒸着によりshadowingにより原子層ステップで分離された微小キャパシタンス列を作成することを試みている。 また、シリコン基板を5%の酸素を含むアルゴン雰囲気中で1350℃,10時間加熱することにより、ジャイアント原子層のステップを作成することも検討している。 単一電子トランジスタの試作としてはシリコン(100)面をエチレン・ジアミン・ピロカテコールの水溶液を用いた異方性エッチングにより近接して形成される(111)面で挾まれる微小領域に表面反転層を電界誘起により形成して量子ドットを形成する方法を考案し、(111)面で挾まれる微小領域の作成に成功している。 単一電子トランジスタの動作特性上の一つの問題点は、量子ドット中に電子を局在させるためにトンネル抵抗を大きくとるとCRの時定数が大きくなって動作速度が遅くなり且つトンネル電流が小さくなることである。そこでトンネル電流を決める電位障壁は薄くしてトンネル電流を大きくし、電子の局在性を確保し、キャパシタンスを決める電位障壁は厚くして、量子ドット中に存在する電子のトンネル抵抗を大きくし、キャパシタンスを小さくして動作速度を上げる構造を考案し、計算機シミュレーションにより、その動作を確かめることに成功した。 また、この2重障壁構造はトンネル電流・電圧特性に非対称性が現れることが予想されるので、2分木法による単一電子回路の構成に際し電子の転送に方向性を持たせることができ、単一電子回路の構成を容易にすることができることも明らかになっている。
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