1995 Fiscal Year Annual Research Report
微小傾角基板を用いた単一電子トンネル・デバイスの研究
Project/Area Number |
05452200
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Research Institution | Toyo University |
Principal Investigator |
菅野 卓雄 東洋大学, 工学部, 教授 (50010707)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
神田 洋三 東洋大学, 工学部, 教授 (70041845)
村山 洋一 東洋大学, 工学部, 教授 (40057956)
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Keywords | 高精度微小傾角基板 / ステップ構造 / 異方性エッチング / 表面反転層 / 単電子トランジスタ / 量子ドット / 極微細パターン / 非対称トンネル障壁 |
Research Abstract |
(1)高精度微小傾角基板における原子層ステップ構造の作成 (100)面を主体とした主要低指数面からの傾き、大きさを変化させた高精度微小傾角シリコン基板を超高真空中通電加熱処理することにより、単原子層及び2原子層ステップ構造を作成するのに成功し、走査型トンネル顕微鏡で確認した。 (2)グループ傾斜側面を利用した単電子トランジスタの試作 シリコン(100)面をエチレン・ジアミン・ピロカテコールの水溶液を用いた異方性エッチングにより近接して形成される(111)面で挟まれる微小領域に表面反転層を電界誘起により形成して量子ドットを形成する方法により作成する単電子トランジスタに関して、2次元容量解析シミュレーション等によって素子の寸法、材料設計を行い、その設計に基づいて素子を作成し、現在までに3端子測定によりその電気的特性の評価を行うまでに至っている。一方、素子寸法を更に微細化することにより量子効果の発現をより容易にするために、電子線露光により最小線幅0.05μm程度の極微細パターン作成を可能とした。 (3)単電子トランジスタ動作のコンピュータシミュレーション 単電子トランジスタの実用化の障害となる、動作速度、動作温度、ファンアウト間に必然的に生じるトレードオフの問題点を解決すべく提案した非対称トンネル障壁の導入により、電子の移動に方向性を持たせ、また、障壁の容量とトンネル抵抗とを独立に制御することが可能となる。この着想に基づく素子に関してはシミュレーションにより既にその動作を確認済みであり、CMOSロジックのような従来型論理回路において特性を向上させるのみならず、2分決定ダイヤグラム(BDD)のような非ブール代数型論理回路に対してもその有用性を示すことに成功している。
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[Publications] Y.Matsumoto, T. Hanajiri, T. Toyabe and T. Sugano: "Single electron device with asymmetric tunnel barriers" Ext. Abst. of the 1995 Int. Conf. on Solid Devices and Materials. 186-188 (1995)
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[Publications] Y.Matsumoto, T. Hanajiri, T. Toyabe and T. Sugano: "Single electron device with asymmetric tunnel barriers" Jpn. J. Appl. Phys.35. 655-660 (1996)
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[Publications] 坂上、花尻、菅野 他: "リセス構造を用いた単電子素子作成プロセスの研究" 第39回東洋大学工業技術研究所講演会予稿集. 17-18 (1996)
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[Publications] 理碕、菅野 他: "FE-SEM改造電子ビーム描画装置による半導体微細加工" 第39回東洋大学工業技術研究所講演会予稿集. 35-36 (1996)
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[Publications] 坂上、花尻、菅野 他: "リセス構造を用いた単電子トランジスタ" 第43回応用物理学関係連合講演会予稿集. 第II分冊. (1996)
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[Publications] 佐久間、鳥谷部、菅野: "リセス構造を用いた単電子トランジスタのデバイスシミュレーション" 第43回応用物理学関係連合講演会予稿集. 第II分冊. (1996)