1993 Fiscal Year Annual Research Report
AFMの探針に作用する力をベクトルとして検出し,力の制御を行う研究
Project/Area Number |
05452215
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
川勝 英樹 東京大学, 生産技術研究所, 助教授 (30224728)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
ハネス ブロイレル 東京大学, 生産技術研究所, 客員助教授
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Keywords | ナノテクノロジー / AFM / 制御 / 顕微鏡 / 表面物性 |
Research Abstract |
(実績) 本研究では、原子間力顕微鏡(atomic force microscope,AFM)の探針に作用する力を多自由度で検出し、探針先端の位置をより正確に求めることや、力を多自由度で制御することを目的としている。本年度は、光てこ式変位拡大機構を1個と、4分割型フォトダイオードを有するAFMを試作し、実験を行った。実験内容を以下に列挙する。 (i)カンチレバーのねじれとたわみを4分割フォトダイオードを用いて同時に検出し、それらの自乗和が一定に保たれるようにする制御実験。この制御方法は、探針に掛かる力の自乗和を一定に保つこととほぼ等しい。 (ii)求められたカンチレバーの姿勢変動と走査用のピエゾスキャナの変位から、カンチレバー先端に固定された探針の先端の軌跡を求める実験。 前者の実験に関しては、深さ0.5μmのグレーチングを走査した場合に、制御が有効に働いていることが確認された。後者に関しては、雲母の結晶面を走査したときに、探針先端が、走査軸に沿うのではなく、一見、結晶格子の谷間をなぞるように蛇行していることが明らかにされた。 (今後の実施計画) 現在の、光てこ機構を1個だけ有する構造では、カンチレバーの1箇所のあおり角2自由度分しか検出することができない。そのため、3自由度の探針の変位と、力の3成分を求めることはできない。今後の研究としては、カンチレバーの変位検出機構をさらに多自由度化し、より正確な力制御と探針の位置の検出を実現する。これにより、試料に優しい走査や、試料の操作、制御方法の影響をほとんど受けない像の取得、などが可能になると考えられる。
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Research Products
(3 results)
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[Publications] 川勝,ブロイレル,斉藤,鴻上,ブラナルト,川合,渡辺,西沖: "バイオサンプル観察のための原子間力顕微鏡の力制御の研究" 生産研究. 46-1. 15-18 (1994)
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[Publications] 川勝,川合,渡辺,西沖: "原子間力顕微鏡の力制御の多自由度化" 生産研究. 45-6. 78-81 (1993)
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[Publications] H.Kawakatsu,T.Saito,H.Kougami,P.Blanalt,M.Watanabe,N.Nishioki: "Detecting and controling forces in atomic force microscopy with multi-degrees of freedom" Journal of Vacuum Science and Technology. MAR/APRIL(予定). (1994)