1993 Fiscal Year Annual Research Report
質量・エネルギー・運動量の生成保存と連成移動に関するコンクリート熱力学
Project/Area Number |
05452226
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
前川 宏一 東京大学, 工学部(試), 助教授 (80157122)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
下村 匠 東京大学, 工学部, 講師 (40242002)
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Keywords | 物質移動 / セメント硬化体 / 拡散 / ゲル空隙 / 毛管空隙 / コンクリート / 骨材 / 遷移帯 |
Research Abstract |
様々な寸法を有する微小な細孔で構成されているコンクリート硬化体を、熱力学的に一般化することを主眼に置き、コンクリートの中のセメント硬化体と骨材、及び境界面に存在する水分の状態を記述する熱力学条件を明示した。以下に主な成果の概要を述べる。 1.セメント鉱物の活性化エネルギーと基準発熱速度を、微小伝導型熱量計と物質移動抵抗から定量化した。また、水酸化カルシウムの刺激による、ポゾラン系材料の活性化エネルギーの同定が可能となった。 2.骨材およびセメント硬化体間に発生する相互物質移動則の提案を行い、コンクリートの吸水特性と透気特性からモデル化の検証を行った。 3.骨材およびセメント硬化体の間に存在する遷移帯の形成過程を、全ての骨材粒子を個々に扱った3次元粒子分散モデルより模擬する手法を開発した。これを基礎に、細孔径分布の計測と物質透過性の実測から検証を行った。 4.パーコレーション理論を応用することにより、コンクリート硬化体中の気体移動抵抗則を導出し、低水セメント比の高耐久性コンクリートの透気係数の予測が可能となることを示した。 5.液状水分の移動抵抗則を項目(4)と同様の過程で導出して検証を行った結果、微小細孔中の液体水分の見掛けの粘性が、セメント硬化体の表面エネルギーによって変動することを見出した。この定量化は未だ完成しておらず、平成6年度において追求する予定である。
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[Publications] 前川宏一: "鉄筋コンクリート構造の長期健全性に及ぼす要因と耐久設計" 腐食防食協会. 427-430 (1993)
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[Publications] 下村匠: "細孔容積分布密度関数に基づくコンクリートの乾燥収縮モデル" コンクリート工学年次論文報告集. No.15 Vol.1. 435-440 (1993)
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[Publications] Chaube,R.: "Multi-phase water movement in concrete as a multi-component system" Proc.of RILEM Symp.on Creep and Shrinkage of Concrete. 139-144 (1993)
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[Publications] Kishi,T.: "Multi-component model for hydration heat of concrete based on cement mineral compounds" コンクリート工学年次論文報告集. No.15 Vol.1. 1211-1216 (1993)
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[Publications] Santhikumar,S.: "Heat generation model for mixed Portland cement,blast furnace slag and fly ash concrete" Proc.of EASEC. 1449-1454 (1993)