1994 Fiscal Year Annual Research Report
二条城二の丸御殿の部材痕跡と障壁画の総合的分析による慶長度二条城御殿の復原検討
Project/Area Number |
05452268
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Research Institution | Kanagawa University |
Principal Investigator |
西 和夫 神奈川大学, 工学部, 教授 (10049687)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
小沢 朝江 湘北短期大学, 生活科学科, 助手 (70212587)
津田 良樹 神奈川大学, 工学部, 助手 (00112996)
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Keywords | 二条城二の丸御殿 / 障壁画 / 料紙寸法 / 書院造 / 聖衆来迎寺 / 知恩院 / 南禅寺 |
Research Abstract |
二条城二の丸御殿の歴史的背景を明らかにするため、時代・機能・造営背景等の共通する建築として本年度は聖衆来迎寺(大津市)、知恩院大方丈・小方丈(京都市)、南禅寺大方丈・小方丈(京都市)を取り上げ、建築と障壁画の総合的分析を行った。いずれも、建築については平面の実測、柱などの部材の痕跡調査、痕跡に基づく復原検討を行い、障壁画については料紙寸法の実測、料紙および絵画の復原検討を行い、それぞれの建物の復原考察を通して、時代的特色、造営の背景、技法上の特色等を検討した。また、それらを総合しつつ、二条城二の丸御殿との比較を行った。 聖衆来迎寺客殿は、狩野信政とされる障壁画が当初の姿ではないことが判明し、平面の復原とあわせると、障壁画による室内構成や作者等、従来の見解とは様相が大きく異なることがわかった。知恩院大方丈・小方丈は、建築については大きな改変が見出されないが、小方丈の上段・中段・下段の構成が当初は上段・中段のみだったこと、それにともない障壁画の作製意図も変更が加えられた可能性があること、障壁画料紙が、ひとつの部屋の中では高さを四周すべて揃えようと計画されていたこと、等が判明した。このような手法の存在は今まで全く知られておらず、二条城二の丸御殿について、この視点からの再検討を次年度の課題のひとつとすることになった。南禅寺大方丈・小方丈については、大方丈が新上東門院御所(旧正親町院御所)対面所の移築であることが明確になったのみならず、部材の痕跡調査から平面が正親町院御所当時と新上東門院の2時期それぞれに復原され、障壁画もこの2時期の様相がかなり明確になった。
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Research Products
(1 results)