1993 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
05452285
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
菅野 幹宏 東京大学, 工学部, 教授 (60011128)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
岡田 浩 東京大学, 工学系研究科大学院博士課程, 日本学術振興会特別研
伊藤 吾朗 東京大学, 工学部, 助手 (80158758)
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Keywords | アルミニウム-銅合金 / 脆化 / 結晶粒界割れ / 微量不純物 / ナトリウム / 不純物水素 / 超高真空 / 四重極質量分析計 |
Research Abstract |
金属材料の脆化の解明と防止の研究において、平成5年度はAl-Cu合金の粒界割れに基づく脆化現象に及ぼす不純物水素の影響について検討する予定であった。変形中あるいは破断時に放出されるであろう極微量の不純物水素を捉えるため、まずアクターポンプと非蒸発型ゲッターポンプおよびゲートバルブを導入し、試料室の真空度の改善を図った。結果的に、10^<-9>Pa台の超高真空が達成されたが、それまでの装置に付属していた真空計では計測不能となったため、新たに超高真空用の真空計も導入した。真空関係についてはこのようにして当初の目的をほぼ達成できたが、肝心の微量ガスを補足する四重極質量分析計が極高真空に近い真空度で作動する型式でなく微量ガスの検出は不可能であった。極高真空仕様の質量分析計の今年度導入は時間的に不可能であるため、次年度に導入することとし、今年度は水素以外の不純物の影響について検討することにした。 5Nと4Nのアルミニウム地金を用いてAl-4%Cu合金を作製し,引張試験を行なったところ、4Nアルミニウム地金を用いた合金の方が延性が低く粒界破面率も高かった。GD-MSを用いて40種類の元素について極微量分析を行なったところ、4N地金を用いた合金は不純物のナトリウムの含有量がやや多かった。そこで破壊現象に及ぼす極微量のナトリウムの影響を検討する必要があると考え、Al-0。01%Na母合金を新たに作製し、5N地金を用いたAl-4%Cu合金に1ppm以下の範囲で不純物ナトリウム量を変化させ、引張試験を行なった。その結果、4N地金から作製した合金中の不純物ナトリウム量と同程度のナトリウムが含有されると粒界割れを伴う脆化現象を生じることが明らかとなった。次年度はこれを踏まえて、Al-Cu合金の不純物水素の影響を検討すると共に、他の金属の材料の脆化と不純物水素について検討する予定である。
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