1994 Fiscal Year Annual Research Report
プレス成形性に優れた自動車用Al-Mg合金板の開発
Project/Area Number |
05452293
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Research Institution | Yokohama National University |
Principal Investigator |
上城 太一 横浜国立大学, 工学部, 教授 (50017878)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
福富 洋志 横浜国立大学, 工学部, 助教授 (90142265)
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Keywords | プレス成形性 / Al-Mg合金 / 自動車 / 温間圧延 / せん断集合組織 / (111)[110]方位 / (111)再結晶集合組織 / r値 |
Research Abstract |
平成6年度は5年度に引き続き、Al-5.5Mg合金とAl-4.0Mg-0.1Fe-0.1Si合金を280℃と300℃にて温間圧延を施し以下の知見を得た。 1)280℃以上の温度で圧延すると、それ以下の温度で得られた(001)[110]方位に代って、(111)[110]方位のせん断集合組織が発達し、焼鈍後分散の大きな(111)[110]再結晶集合組織が形成された。 2)圧延集合組織と再結晶集合組織は両合金の間で殆ど違いがみられなかったが、r値はAl-5.5Mg合金の方が少し優れており、280℃で圧延した試料でrとして1.30以上の値が得られた。Al-4.0Mg0.1Fe-0.1Si合金では1.15であった。 3)300℃で圧延した方が(111)[110]せん断集合組織は板厚の中心に向かって深く浸透したが、(111)再結晶集合組織の分散が増加した。そのためr値は280℃で圧延した試料の方が平均1.25で、300℃圧延の平均値1.12より少し高かった。しかし280℃圧延では面内異方性が大きく、特に圧延方向のr値が0.4以下と極めて低くなった。 この結果をふまえ、Al-5.5Mg合金の実機熱間圧延板を300℃から360℃まで20℃おきの各温度で圧延を施した。この板は熱延状態でβ-繊維組織が発達しており、せん断集合組織の発達が困難であった。そのため(111)再結晶集合組織が形成されず、r値が1以下と低くなった。また温間圧延のための余熱温度が340℃以上になると、板の中心部に再結晶粒が現われた。以上の結果から、熱間圧延板の集合組織が重要であること、温間圧延の温度としては280℃ないし300℃が適切であることがわかった。この温度域に余熱しながら圧延し、(111)[110]せん断集合組織を両表面から25〜30%内側まで発達させれば、焼鈍後(111)再結晶集合が形成され、r値として1.1以上のプレス成形成に優れたAl-Mg合金板を製造することは容易であると結論できる。
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