1993 Fiscal Year Annual Research Report
ニューラルネットを用いた海中運動体のシステム同定に関する研究
Project/Area Number |
05452311
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
浦 環 東京大学, 生産技術研究所, 教授 (60111564)
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Keywords | システム同定 / ニューラルネットワーク / 海中ロボット / 動特性 / シミュレーション / 運動体 / 適応制御 / 潜水機 |
Research Abstract |
海洋構造物や船舶、あるいは潜水船などの海中ビークルの運動を考えるとき、低速域での非線形性や相互干渉やダイナミクスの変化など、古典的な運動理論では極めて取扱いにくい状況がある。学習機能を持つシステムであるニューラルネットワークは、不特定多数の入力に対して、ある出力を表すモデルを表現することができる。すなわち、実験あるいは実操業において得られるセンサ出力を入力信号として、運動を表すパラメタを出力することができる。 運動体のモデルとして研究室で開発した海中ロボットのテストベッド「ツインバーガー(以後TBと略す)」を使用する。すなわち、このTBに搭載されている運動計測装置をセンサとし、5機のスラスタをアクチュエータとするシステムが制御対象である。 ニューラルネットの構造として、(1)時系列データを扱いやすくするために中間層から入力層への回帰結合を持つ、(2)基本となる出力は状態量の2階の微係数とする、(3)出力を積分してこれを入力信号とし、状態量の1階の微係数を求める、(4)これを積分して状態量とすることを考案した。これを内部から順次学習することにより精度のよいシステム同定をおこなう手法を提案した。この構造を、TBの回頭運動に適用してネットワークを作り、これが回頭運動をシミュレートすることを示した。 さらに、運動制御のコントローラを同じくニューラルネットで形成し、先に得られたネットワークを使用して、適応的にコントローラを調整する構造を提案した。すなわち、同定ネットワークを使用して、シミュレーションにより仮想的なコントローラの調整をおこない、これを実ビークルのコントローラに置き換えることにより、実ビークルの操縦の危険性を避けて、安全にコントローラの調整ができることを示した。ビークルを運動させながら調整する場合には時間がかかっていたが、本法により極めて短時間に満足な調整ができることを示した。
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Research Products
(3 results)
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[Publications] 浦 環: "ニューラルネットワークによる潜水艇の運動の同定" 日本造船学会論文集. 174. (1994)
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[Publications] 須藤 拓: "自己訓練による海中ロボットの定高度航行" 日本造船学会論文集. 174. (1994)
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[Publications] 浦 環: "海中ロボット総覧" (株)成山堂書店, 531 (1994)