河口・沿岸水圏の水質環境モデリングに関する基礎的研究

1994 Fiscal Year Annual Research Report

• Project/Area Number: 05452325
• Research Institution: KYOTO UNIVERSITY
• Principal Investigator: 河地 利彦 京都大学, 農学部, 教授 (50026564)
• Co-Investigator(Kenkyū-buntansha): 伴 道一 高知大学, 農学部, 助教授 (20198956)
• Keywords: 水質汚濁 / 水質保全 / 水質解析モデル / 環境水理 / 環境の予測 / 有限要素法 / 移流・分散 / 密度流

Research Abstract

本研究の目的は,流れと物質輸送が塩分濃度差や水温差による密度傾度に強く影響される河口・沿岸水圏に対する一般的(汎用的)で信頼性(再現性および安定性)の高い動力学的水質環境予測モデルを体系的に開発することにある.具体的には,当該水圏を一次元強混合型,平面二次元強混合型,鉛直二次元成層型,三次元成層型に類型・特化して,それぞれの流れ形態について非定常分布系の流れ(運動量および質量保存)と水質(保存系および非保存系)の連成系モデルを導出することを目的としている.昨年度においては,目的の前半部分に当たる流れ系(密度に依存しない流れも含む)解析に焦点を絞り,有限要素法を基礎手法として各流れ形態ごとに固有のモデルを構築して,それらの数値解析上の基本性状を調べることと解の再現性(精度)を検証することに力点を置き研究を進めてきた.本年度は,その成果を踏まえて,流れと水質の連成系モデルについて研究展開を行い,これまでに予備的,試験的に作り上げてきた各水圏類型に対する水質予測モデルを一般的で信頼性のあるモデルに改良することを試みた.一次元強混合型流れ系については,BODおよびDOの水質因子を対象とするデルタ河川網の水質予測モデルを完成させたが,具体的な実測データ等が入手できなかった関係上,モデルの再現性に関する検討はできていない.平面二次元強混合型,鉛直二次元成層型,三次元成層型についても,汎用的でかつ安定なモデルを完成させることができたが,一次元の場合と同様の理由から,実現象との比較によるモデルの検証はできなかった.今後は,これら各種モデルの精度的検討を中心として研究を継続していく予定である.

Research Products

• [Publications] 河地利彦: "Three-Dimensional Finite Element Modelling of Thermal Stratification in Shallow Waters" 農業土木学会論文集(研究論文). 168. 87-95 (1993)
• [Publications] 河地利彦: "FEMによる環境水理モデリング" 農業土木学会誌. 62(3). 237-243 (1994)