1994 Fiscal Year Annual Research Report
杉,檜樹皮廃材コンポスト素材の水耕栽培用ベッドへの適応性の研究
Project/Area Number |
05452332
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Research Institution | SHIMANE UNIVERSITY |
Principal Investigator |
岩尾 俊男 島根大学, 農学部, 教授 (70032547)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
林 圭わん 島根大学, 農学部, 講師 (50252903)
藤浦 建史 島根大学, 農学部, 教授 (00026585)
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Keywords | 杉,檜樹皮廃材 / コンポスト化 / 水耕栽培用ベッド / 化学特性 / 物理特性 |
Research Abstract |
この研究は、スギ・ヒノキ樹皮材ベットの水耕栽培への適応性を調べ、その基礎的な特性について明らかにした。その結果の主なものは次の通りである。 1.スギ・ヒノキの樹皮には、殺菌と抗菌成分が含まれている。 2.樹皮材ベットの吸水性には、精油含有成分によって吸水が阻害されるが浸水によって改善される。また、吸水はロックウ-ルに比べて、比較的緩やかであり、一定の時間が経過後飽和状態となる。その含水比は350%程度であり、浸水最適時間は12〜24時間程度である。 3.三相分布においては、ロックウ-ルの三相分布に比べて液相率は極めて高く、樹皮材ベッドは、比較的に土壌に近い傾向を示した。 4.樹皮ベッド材の乾燥速度は、含水比が高いとき、比較的に大きいが、5,6時間経過後は小さい値となる。この乾燥特性から樹皮ベッド材は、比較的保水性が高いと考えられる。 5.樹皮ベッド材の浸水特性において、樹皮材ベッドは横方向への水の浸水が比較的良好であり、樹皮材ベッドに点滴灌水を行う場合、ロックウ-ルに比べ、ベッド内の水分分布を均一にすることが容易である。これらのことから植物に対して良好な環境を作ることができると考えられる。また、根の呼吸という点から考えると湿潤状態は、植物にとって好ましくない。このことから、樹皮材ベッドは排水性という点でもロックウ-ルより優れていると考えられる。 6.熱伝導特性より、ロックウ-ルは熱を吸収しやすい岩を原料としているため、熱伝導係数は比較的高く、樹皮材ベッドは断熱性の高い木材を原料としているため、熱伝導係数は低いものとなった。 7.圧縮特性より、スギ・ヒノキ樹皮材は、塑性変形特性を有することから樹皮ベッドの成形加工は容易である。 8.樹皮材ベッドを使用した植物栽培において、蒸散量、茎径の変化から判断して、最適pF値はpF1.6〜2.0の間であり、これはわが国の施設園芸における最適水分条件とほぼ一致した。 9.ベッドの試作において、吸水性に関しては使用する樹皮材のサイズが大きい場合に吸水性が高く、乾燥性(保水性)に関しては、接着剤の量の影響は少ないと考えられる。
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Research Products
(2 results)
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[Publications] 岩尾俊男: "スギ,ヒノキ樹皮廃材コンポスト化素材の水耕栽培用ベッドへの適用性の研究" 島根大学農学部研究報告. 28(印刷中). (1994)
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[Publications] 岩尾俊男: "水耕栽培用バイオマス樹皮ベッドの利用特性に関する研究" 第53回農業機械学会講演要旨. 161-162 (1994)