1993 Fiscal Year Annual Research Report
雪の高速衝突実験による高速雪崩ダイナミックスと氷ユゴニオ関係の解明
Project/Area Number |
05452368
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
前野 紀一 北海道大学, 低温科学研究所, 教授 (50001657)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
杉山 弘 室蘭工業大学, 機械システム工学科, 教授 (70002938)
荒川 政彦 北海道大学, 低温科学研究所, 助手 (10222738)
成田 英器 北海道大学, 低温科学研究所, 講師 (20001662)
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Keywords | 雪崩 / 雪と氷 / 高速衝突 / 氷天体 / 惑星科学 / 氷のユゴニオ |
Research Abstract |
大型の低温実験室に設置されたガス銃を用いて、雪と氷の高速衝突実験が行われた。ガス銃は最高速度約600m/sまで可能であるが、今年度は、速度100〜500m/s、温度-18℃で行った。標的試料には板状の多結晶氷と雪を用いた。多結晶氷の場合にはクラックの伝播の状況を観察するために、試料をアクリル製の容器に入れ中を氷とほぼ同じ屈折率の液体で満たした。これで試料表面の散乱が押さえられ、内部の観察が可能となった。試料の衝突の様子は超高速で撮影可能なイメージコンバーターカメラで撮影された。撮影速度は20万駒/秒、50万駒/秒である。光源にはクセノンフラッシュランプを用い、光学系にはシュリーレン法とシャドウグラフ法を用いた。 氷の衝撃破壊の観測により、クラックの伝播の様子と速度に関していくつかの新しい知見が得られた。板状氷に氷プロジェクタイルを衝突される実験では、氷中のクラックは球面状に伝播し、例えば衝突速度が139m/sのときのクラックの進行速度は最高で約3000m/sにも達した。衝突速度を139〜528m/sの範囲で変えた実験から、クラックの進行速度が2100〜4000km/sの幅を持っていることが分かった。 雪の高速衝突実験に関しては、初め衝撃圧測定のセンサーの選定、設置法等について困難な点があったが、衝突の様子の撮影には成功し新しい結果が得られた。厚さ5mmの板状の雪試料に先端が丸いプロジェクタイルを衝突させた場合衝撃波も球状に進行した。測定された衝撃波速度、物質速度および初期密度から衝撃時に発生した圧力と密度を見積もったところ、密度は氷の理論値を越え、例えば粒子間の局所的圧縮や相変化等の現在未解決の物理過程が進行していることが示唆された。次年度は、この点に注意して研究を進める必要がある。
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Research Products
(3 results)
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[Publications] Arakawa,M: "Direct observations of the crack propagation in the collisional disruptions of ice" Proc.26th ISAS Lunar and Planetary Symp.26. 137-140 (1993)
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[Publications] Higa,M.: "Impact experiments of ice spheres on an ice block:First report" Proc.26th ISAS Lunar and Planetary Symp.26. 141-144 (1993)
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[Publications] 杉山 弘: "微粒子-気体衝撃波管内におかれた楕円柱まわりの流れ" 衝撃波シンポジウム講演論文集. 137-139 (1994)