1994 Fiscal Year Annual Research Report
低ヤング率材料を用いる人工関節の潤滑に関する基礎的研究
Project/Area Number |
05452407
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Research Institution | KYOTO UNIVERSITY |
Principal Investigator |
池内 健 京都大学, 生体医療工学研究センター, 教授 (30026223)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
岡 正典 京都大学, 生体医療工学研究センター, 教授 (20088537)
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Keywords | 人工関節 / 混合潤滑 / 流体潤滑 / 衝撃荷重 |
Research Abstract |
1.股関節シミュレータを用いて歩行時にすき間内に発生する流体圧力を測定した結果、ポリエチレン製ソケットで半径すき間の小さい場合および、低ヤング率材料(シリコンラバーおよびポリビニルアルコール・ハイドロゲル)を用いるソケットにおいては、着地時には荷重の大部分が流体圧力で支えられることが明らかになった。 2.同時に摩擦係数を測定した結果、流体圧力が高くて流体潤滑状態に近い場合には摩擦が低かった。また、荷重の高いときには、摩擦トルク自体は少し高いもののそれを荷重で割った摩擦係数は低かった。これは関節液のスクイーズ膜効果が有効であることを示している。したがって低ヤング率材料を用いる人工股関節のすき間部は混合潤滑状態にあると結論された。 同じ低ヤング率材料のソケットを比較すると、疎水性のシリコンラバーよりも親水性の高い高含水ポリビニルアルコール・ハイドロゲルの方が摩擦が低かった。 4.この点を確認するために、ピンオンディスク摩擦試験器を用いて柔らかいディスクとガラス製の凸レンズを装着したピンについて起動摩擦を測定した。その結果、プラズマ処理によって親水性を高めたディスクでは疎水性のディスクよりも起動摩擦が高かった。 5.高含水ポリビニルアルコール・ハイドロゲルでは、固体接触圧力の高い高荷重下では凝着により摩擦係数が高かったが、荷重の低下につれて摩擦が減少した。この材料を人工関節に応用する場合には良好な潤滑状態に保つ必要がある。
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[Publications] 池内健: "膝関節軟骨と半月板の摩擦特性" 日本臨床バイオメカニクス学会誌. 15. 183-186 (1994)
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[Publications] 岡正典: "超高速カメラによる関節の衝撃吸収機構の可視化(第2報)" 日本臨床バイオメカニクス学会誌. 15. 169-174 (1994)
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[Publications] 岡正典: "高分子量ヒアルロン酸の潤滑機能に及ぼす効果" 日本臨床バイオメカニクス学会誌. 15. 187-191 (1994)