1994 Fiscal Year Annual Research Report
同位体地学的研究によるマントル・地殻系の化学システムにおける物質移動の解明
Project/Area Number |
05453011
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Research Institution | KUMAMOTO UNIVERSITY |
Principal Investigator |
清水 洋 熊本大学, 理学部, 助教授 (60090544)
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Keywords | Ce同位体比 / Nd同位体比 / 希土類元素パターン / マントル / 大陸地殻 / 物質移動 / 小白山陸塊 / Pilbara Block |
Research Abstract |
同位体地学的研究により、マントル-地殻系の化学システムにおける物質移動を解明することが本研究の目的である。主な成果は次の通りである。 1.西オーストラリアPilbara Blockの始生代Warrawoona Groupのチャート(Marble Bar chert)とコマチアイトについてREEパターン、Nd・Ce・Sr同位体比、主成分元素による、地球化学的・年代学的研究を行い以下の結果を得た。(1)Marble Bar chertの形成に火成活動が密接に関与していた。そして、その火成活動とコマチアイトの火成活動に関連があった。(2)Pilbara Blockにおいて、始生代の前期には軽希土類元素に富んだ大陸地殻はあまり発達していなかった。 2.韓国の小白山陸塊金泉地域の黒雲母片麻岩と花崗片麻岩について、10億年と16億年のSm-Nd年代を得た。ε_<Nd>初生値は黒雲母片麻岩については負の、花崗片麻岩については正の値を示し、この両者の片麻岩が成因的に異なることが明らかになった。これらの結果は、東アジアにおいて、depleted mantleが始生代初期から存在していたこと、およびこのdepleted mantleからLREE-enrichedな大陸地殻が始生代後半に形成されたことを示唆している。 3.日本で先カンブリア紀の年代を示す唯一の例である、美濃帯の上麻生礫岩の片麻岩礫・花崗岩礫について、Sm-Nd同位体系・La-Ce同位体系・希土類元素存在度パターンの詳細な検討を行ない、日本列島の先カンブリア紀基盤岩は、LREE-depleted mantleから始生代後半に、大陸地殻の一部として形成されたことを示した。
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Research Products
(2 results)
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[Publications] Hiroshi Shimizu: "Ce and Nd isotope ratios and REE patterns in sea water from the North Pacific" Geochimica et Cosmochimica Acta. 58. 323-333 (1994)
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[Publications] Hiroshi Shimizu: "Environment of the early Earth as recorded in scdimcntary rocks" RIKEN Review. 5. 7-8 (1994)