1993 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
05453018
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Research Institution | Kanazawa University |
Principal Investigator |
伊藤 道也 金沢大学, 薬学部, 教授 (30012610)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
甲谷 繁 金沢大学, 薬学部, 教務職員 (00242529)
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Keywords | 超音速ジェット分光 / 励起状態電子移動 / 励起状態プロトン移動 |
Research Abstract |
本研究は、超音速ジェット中を生成する芳香族分子クラスター中の励起状態電子移動及びプロトン移動のダイナミクスを、蛍光分光により明らかにすることを目的とする。特に本年度は、メチレン鎖末端に電子供与体・受容体をもつ分子内電子移動系について、分子内励起状態電荷移動錯体生成のダイナミックスをナノ秒ピコ秒蛍光及びホールバーニング分光により検討した。 即ち、トリメチレン鎖の両末端にアントラセンとp-N,N-ジメチルアニリンを持つ分子内電子供与体・受容体を持つ化合物は、超音速ジェット中でトリメチレン鎖の構造異性体の存在することを見いだした。さらにその構造により、電子移動のダイナミックスに著しい違いのあることを蛍光のホールバーニング分光明らかにした。そして、トリメチレン鎖には、C-Cにtrans,gauche構造があり、その構造の違いにより励起状態電子移動のダイナミックスに著しい相違の現れることを明確にした。しかもtrans,gauche構造の存在をAM1分子軌道計算により明らかにするとともに、電子移動のダイナミックスの違いは、分子内振動エネルギー移動速度の違いによるものであることを明確にした。また、meta-N,N-ジメチルアニリンを持つ分子内EDA系では、メチレンのtrans構造であっても、基底状態で2種類の構造のある事をホールバーニング分光により明らかにした。そして、この2種の構造異性体での分子内電子移動のダイナミックに大きな相違のあることを見いだした。 一方、励起状態プロトン移動については、内外の研究者の間で長年問題となっていた3-ヒドロキシフラボンとアルコールとの分子クラスターでのプロトン移動では、クラスター中では励起状態分子間プロトン移動の起こらないことを明確にした。
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Research Products
(3 results)
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[Publications] M.Itoh et al.: "Ficosecond time-resolved fluorescecne of the intramolecular" Chem.Fhys.Lett.211. 140-146 (1993)
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[Publications] M.Itoh et al.: "Fluorescecne studies of the excited state proton transfere in substituted 3-hydroxychromones in supersonic jet" Fure & Appl.Chem.65. 1629-1634 (1993)
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[Publications] M.Itoh et al.: "Intramolecular exciplex formation in jet-cooled bichromophric chain molecules;Torsional conformations and excess energy..." J.Am.Chem.Soc. 115. 4799-4807 (1993)