1994 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
05453021
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Research Institution | Nagoya Institute of Technology |
Principal Investigator |
田中 清明 名古屋工業大学, 工学部, 教授 (00092560)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
尾中 証 名古屋工業大学, 工学部, 教授 (50024302)
志田 典弘 名古屋工業大学, 工学部, 講師 (00226127)
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Keywords | X線回折法 / X線原子軌道解析 / X線分子軌道解析 / 遷移金属錯体 / d軌道関数 / 4f電子 / ジフォルムヒドラジド / CeBb |
Research Abstract |
前年度で対称心のみを有する低対称場中の3d軌道を,遷移金属錯体、Cu(diazaoctane)_2(NO_3)_2中のCu^<2+>について求めることに成功し、X線原子軌道解析法を一般的に行うことができるようになった。そこで、本年度はX線分子軌道解析法の開発に全力を投入した。二中心電子に対応する温度因子等の定式化およびプログラム作成をほぼ終了した。本一般研究費で購入した単結晶構造解析装置用吹きつけ型試料低温度装置を用いて100Kで測定したジフォルモヒドラジド(NHCHO)_2のX線回折強度データの解析に、このプログラムを使用して、プログラムのデバッグを行っている。ab initio MO法で計算した分子軌道を出発パラメーターとしている。約3000個の反射の2中心散乱因子を計算するため、予想外に計算時間がかかるため、最終結果はまだえられていないが、簡単な有機化合物では二中心散乱因子は十分有意に測定できること、および、原子座標や温度因子の精密化の過程で、C-H及びN-H結合距離は、中性子回折法で求めた値に近づきつつあること等が明らかになった。一方、X線原子軌道解析法の適用対象を希土類元素等を含む結晶広げるための研究を行った。その結果、従来注目されていなかった多重反射効果が、重原子結晶の精密解析においては、無視できないことを明らかにし、多重反射を避ける強度測定法を確立した。この方法を使用して、PtP_2及びNiP_2のX線原子軌道解析を行い、各5d、3d軌道関数を決定したが、PtP_2では相対論効果が顕著であるので、相対論効果を考慮した原子軌道関数に基づく解析を更に行う予定である。CeB_6結晶のX線原子軌道解析を行ったところ、4f電子と思われる山を変形密度図上に見つけた。この山は原子核の近傍に位置するので、非調和熱振動による山と区別するため、現在、100K、165K、230K、298Kで、X線精密強度測定を行っている。
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[Publications] E.N.MASLEN 他5名: "“Asynchrotron radiation study of potassium zinc fluoride perovskite"." Acta Crystallogr.B49. 632-636 (1993)
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[Publications] K.TANAKA: "“X-ray Analysis of Wavefunctions by the Least-squares Method Incorporating Orthonomality II.Ground state of the Cu^<2+>ion of bis(1,5-deazacyclooctane)copper(II)nitrate in alow symmetry field"." AcTa Crystallogr.B49. 1001-1010 (1993)
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[Publications] K.TANAKA 他4名: "“Multiple diffraction effect in accurate structure factor measurements of PtP_2 crystals"" AcTa Crystallogr.A50. 246-252 (1994)
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[Publications] 田中 清明: "電子密度解析法の開発と遷移金属化合物結晶への応用" 日本結晶学会誌. 36. 307-319 (1994)