1995 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
05453021
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Research Institution | Nagoya Institute of Technology |
Principal Investigator |
田中 清明 名古屋工業大学, 工学部, 教授 (00092560)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
志田 典弘 名古屋工業大学, 工学部, 講師 (00226127)
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Keywords | X線回折法 / X線原子軌道解析法 / X線分子軌道解析法 / f-電子密度分布 / 多重反射 |
Research Abstract |
本研究で対称心のみを有する低対称場中の3d軌道を、遷移金属錯体Cu(diazaoctane)_2(NO_3)_2で求めた。すなわち、X線回折法で求めた電子密度分布を、もっとも良く説明するように原子軌道関数を求める、X線原子軌道解析法の一般化に成功した。さらに、X線原子軌道解析法の適用対象を希土類元素等を含む結晶広げるための研究も行った。その結果、従来注目されていなかった多重反射効果が、重原子結晶の精密回析においては、無視できないことが明らかになり、多重反射を避ける強度測定法を確立した。この方法により、CeB_6結晶の回折X線強度を、165Kで測定した精密測定したところ、4f電子によると思われる山を変形密度図上に見つけた。さらに相対論効果を考慮した原子軌道関数に基づいて、X線原子軌道解析を行ったところ、この山は、CeのT_<1u>軌道上の4f電子によることが明らかになった。これは、量子論モデルに基づいて、f-電子密度分布を、定量的に解析した世界で最初の例である(投稿中)。高温超伝導体等の電子密度解析が射程に入ってきた。 次に、X線回折実験から分子軌道を求める、X線分子軌道解析法の開発を行い、100Kで測定した(NHCHO)_2のX線回折強度データに適用し、以下の結果と問題点が明らかになった。(1).簡単な有機化合物では、2中心電子の回折強度への寄与は大きく、X線分子軌道解析法は適用可能である。(2).2中心電子に対応する温度因子を初めて定式化した。しかし、(3).解析の結果、原子核上の電子密度に大きな不一致があり、これを解決する必要がある。これは基底関数6-31Gの2s軌道関数が、実験で求めた電子密度分布を説明できないことによる。X線分子軌道解析法により、水素原子位置がX線回折法で原理的には決定できるので、これをX線分子軌道解析法の到達目標としていたが、この目的は達成できなかった。今後電子密度分布解析用の基底関数を構築する必要がある。
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Research Products
(10 results)
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[Publications] W.Nagai: ""Structure and fluorescence of products from Cope-Knoevenagel reaction of 2-phenylpropion-aldehyde with methyl cyanoacetate"," J. Heterocy. Chem.(in print). (1996)
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[Publications] 田中清明: "X線精密構造解析と化学反応" 日本結晶学会誌. 37. 35-41 (1995)
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[Publications] 田中清明: "電子密度解析法の開発と遷移金属化合物結晶への応用" 日本結晶学会誌. 36. 307-319 (1994)
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[Publications] K.Tanaka: "Multiple diffraction effect in accurate structure factor measurement of PtP_2 crystals" Acta Crystallogr.,. A50. 246-252 (1994)
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[Publications] K.Tanaka: "X-ray analysis of wavefunctions by the least-squares method incorporating orthonormality. II. Ground state of the Cu^<2+> ion of bis(1, 5-diazacyclooctane)copper(II)nitrate in a low symmetry field" Acta Crystallogr.B49. 632-636 (1993)
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[Publications] S.Yamazaki: "A structural study of facet and off-facet parts of rare-earth garnets, Gd_3Sc_2Al_3O_<12>, Gd_3Sc_2Ga_3O_<12> and La_3Lu_2Ga_3O_<12>" J. Solid State Chem.108. 94-98 (1993)
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[Publications] E.N.Maslen: "A synchrotron radiation study of potassium zinc fluoride perovskite" Acta Crystallogr.B49. 632-636 (1993)
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[Publications] K.Takeshita: "A theoretical study on the ionization of H_2S with analysis of vibrational structure of photoelectron spectra" Chem. Phys.in print
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[Publications] 志田典弘: "小さな稀ガス分子クラスターのダイナミックス" 物性研究. (発表予定).
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[Publications] 志田典弘: "分子クラスターの生成と崩壊のダイナミックス" 数理科学. 5月号(発表予定).