1995 Fiscal Year Annual Research Report
量子波束法を用いた準安定高振動励起状態の理論的研究
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05453026
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
山下 晃一 東京大学, 大学院・工学系研究科, 助教授 (40175659)
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Keywords | 共鳴散乱状態 / 量子波束 / パルスレーザー / 量子制御 |
Research Abstract |
本研究では、化学反応の遷移状態領域や高振動励起状態にある分子系の動力学と分光についての理論的研究と、それらを取り扱うための動力学理論の開発を目的としてきた。本年度は、レーザーによる化学反応ダイナミックスの量子制御に関連して、CO、NaI分子の光解離反応をモデルとして、チャープパルス(レーザーの周波数が時間とともに変化する)と遷移状態領域に存在する共鳴散乱状態の相互作用について量子波束法を用いて研究を行った。 (a)CO分子の電子励起状態での非断熱過程の量子制御 COのB励起状態には非断熱相互作用によるポテンシャル井戸のために準安定な束縛状態が存在しうる。励起COを高速に解離させたい場合、負のチャープを用いるのが効果的であり、また正のチャープにより、励起状態のポテンシャル井戸に波束を閉じ込めて解離させない状況を作り出すことができることが判った。これらのことは、パルスのチャープにより励起波束の分散に差が生じ、励起状態のポテンシャル井戸に存在する共鳴散乱状態との干渉が大いに影響された結果と説明できる。 (b)NaI光解離過程における準安定状態の量子制御 ハロゲン化アルカリの光解離過程においては、イオン結合的な基底状態と共有結合的な第一電子励起状態のポテンシャル曲線が交差する。これらの状態間の非断熱相互作用の大きさにより、第一励起状態に準安定な束縛状態が存在する。Zewailらはフェムト秒レーザーパルスを用いて、この準安定束縛状態において振動する波束の運動を追跡することに成功し、遷移状態分光を実現した。本研究では、フェムト秒レーザーパルスをチャープした場合、この準安定束縛状態において振動する波束の運動を如何に制御可能かについて研究を行った。
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Research Products
(4 results)
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[Publications] C.Leforestier: "Transition State Resonances by Complex Scaling:A Three Dimensional Study of ClHCl" J.Chem.Phys.103. 8468-8476 (1995)
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[Publications] M.Stumpf: "The Unimolecular Dissociations of HCO,HNO and HO_2:From Regular to Irregular Dynamics" Faraday Discuss.Chem.Soc.(in press). (1996)
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[Publications] H.Shiina: "Kinetics Studies on the Pyrolysis of H_2S" J.Phys.Chem.(in press). (1996)
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[Publications] J.Takahashi: "Ab initio Studies on the Interstellar Molecules C_3H_2 and C_3H and the Mechanism for the Neutral-Nentral Reaction C(3P)+C_3H_2" J.Chem.Phys.(in press). (1996)