1994 Fiscal Year Annual Research Report
C=C結合からC≡C結合への新直接変換反応と機能性物資合成への応用
Project/Area Number |
05453034
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Research Institution | NAGASAKI UNIVERSITY |
Principal Investigator |
秋山 修三 長崎大学, 薬学部, 教授 (50028148)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
中島 憲一郎 長崎大学, 薬学部, 助教授 (30039656)
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Keywords | ニトロスチルベン / ニトロトラン / ニトロフェノール / フェノラート / 酵素活性基質 / 水酸基化 / スチルベンラジカルアニオン / エステラーゼ |
Research Abstract |
新反応発見のきっかけとなったC=Cを含む系ビススチリルアントラセン系をより単純化した系4-ニトロー4'-置換スチルベンについて(1)本反応の適用限界を探ってきた.まず,電気的に性質が異なる種々置換基を導入したスチルベンを合成し,逐次本反応が起こるかどうかを検討した。その結果,ニトロ基がベンゼン環にあれば本反応は進行すること.ニトロ基のオルト位置に水酸基が導入されうることなどが明確となった.(2)反応機構の解明のため本新規反応のESRスペクトルの測定・解析を田嶋邦彦博士(愛媛大・理)と協力して行なった。同時に関連のスチルベン及びトラン誘導体の電気化学的挙動を調べた。電気化学反応下でのESR測定も重要であるので,これも行ない反応機構の解明を行なった.その結果,本反応には酸素と微量の水が必要なことが判り,ニトロ基側のオレフィン水素が塩基でき抜かれアニオンが生じ,酸素が関与してアニオンラジカルに変化した後,水素ラジカルが抜けてトランが得られるものと推定した.反応過程のESRスペクトルはこのアニオンラジカルの存在を明らかにした.(3)上の系の高次ビニローグであるブタジエン系についても本反応が適用でき,反応の限界を突き止めることができた.ジエンからジインへ直接変換できる事例は未だなく興味深い結果である.(4)4,4'-ジニトロジベンジル類からも同様な反応が起き,予想通りスチルベン,トランさらには水酸基が導入されたトラン誘導体が生じることが判明した.炭素-炭素単結合からC=CさらにはC≡Cへの変換,さらにはニトロ基のオルト位置への直接水酸基化がこの系でも起こったことは極めて興味深い.(5)上で得られたフェノール類の水酸基を利用して各種脂肪酸エステル類の量産を行なっている.これらは酵素活性基質としてさらには液晶材料としての機能評価が期待できるので,測定準備中(遊離したフェノラートの吸収ないしは発蛍光を利用してエステラーゼ等の酵素活性定量法の確立)である.(6)合成したスチルベン,トラン及びフェノール類の分光学的機器測定を行ない,得られたデータの検討を行なった.
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