1993 Fiscal Year Annual Research Report
カルボン酸アリールメチル、ジアリールメチルの光開裂反応の研究
Project/Area Number |
05453037
|
Research Institution | Toho University |
Principal Investigator |
岩村 道子 東邦大学, 理学部, 教授 (90057597)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
古田 寿昭 東邦大学, 理学部, 講師 (90231571)
|
Keywords | 光開裂反応 / カルボン酸エステル / 1-ピレニルメチル基 / 2-ナフチルメチル基 / 酸素付加 |
Research Abstract |
alpha位に1-ピレニル或は2-ナフチル基を持つベンジルエステルを中心に光分解反応機構、アルデヒド合成へむけての条件設定を行なってきた。 1.ジアリールメチルエステルの光分解反応の機構:これまでのジアリールメチルエステルの光分解反応では、一般的なalpha-開裂に加えてこの系特有のalpha-亀裂が起こっていると考えてきた。今年度さらに詳しい光照射条件、生成物の検討をおこなった結果、alpha-開裂はおこっておらずbeta-開裂により生成したジアリールメチルラジカルに系中にアルゴン気流下でも極微量存在する酸素が付加して、従来とは異なる生成物を与えていることが判明した。しかしながら、ナフタレン、アントラセン、ピレンを含むジアリールメチルエステルのみが一般的な光照射条件下で効率良く酸素を捕捉していることは注目に値する。 2.エステルの構造と光化学反応生成物との関連:2-ナフチル基を持つベンジルエステルは大気下の光照射により酸素付加による生成物を90%以上の収率で与える。これは、エステルC-O結合のヘテロリシスよりもホモリシスのほうが優先的におこり、しかも生成したビラジカル間の電子移動がおこりにくいことを示していると考えられる。このラジカル中間体の合成への応用を現在模索中である。 3.これらジアリールメチルエステルの酸素付加反応の効率は、一光子過程であるにも拘らず照射光の強度に大きく依存する。あわせて基質濃度との相関も検討されたが、統一的な見解を得るに至っていない。今後、分子間エキサイプレツクスの反応関与の可能性等を含めて更に検討してゆく予定である。
|
Research Products
(3 results)
-
[Publications] 吉田寿昭: "New Photochemically Labile Protecting Group for Phosphates" CHEMISTRY LETTERS. 1179-1182 (1993)
-
[Publications] 吉田寿昭: "Direct Esterification of Phosphates with Various Halides and its Application to Synthesis of cAMP Alkyl Triesters" J.Chem Soc.Perkin Trans.1. 3139-3142 (1993)
-
[Publications] 川上淳: "Lntramolecular Fluorescence Quenching and Exciplex Formation in omega-(1-Pyrenyl)alkyl para-substituted Benzoates" J.Phys.Org.Chem. 7. 31-42 (1994)