1994 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
05453038
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Research Institution | Waseda University |
Principal Investigator |
多田 愈 早稲田大学, 理工学部, 教授 (90063651)
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Research Abstract |
本研究は二酸化炭素からメタンに至る種々の酸化準位にあたるC_1-単位が生体内で変換(酸化・還元)され、伝達(転移)されて行く過程を学び、有機化学・無機化学的にこれらの現象(反応)を再現することを目標としている、生体内ではC_1-単位はN→Co→S→Niと種々の元素上を移り換わって行く。本研究ではこれらの元素を反応中心として含むモデル化合物の構築と反応性を検討している。 1。C_1-単位の含窒素担体モデルとしてアニリノメチル置換プテリジン誘導体の合成を試み、昨年度の酸化的ラジカル反応や光化学反応に続いて、ピラジノン類とエナミン類との反応で、逆電子要請Dield-Alder反応による位置特異的アルキル化プテリジン類の合成に成功した。 2。含窒素C_1-担体(プテリジン類)上でCHO→CH_2OH→CH_3と変換されて行くモデル反応として、N-ホルミルアニリノプテリジンを還元することにより、-N^^|-CHO→-N^^|-CH_2OHの変換をモデル系で再現することに成功した。このことから補酵素系における側鎖のアニリノメチル基の重要性を確認できた。 3。N→Coのメチル基転移のモデル化はまだ実現していないが、Co→Sのメチル基転移に関しては昨年に引き続き、メチルコバロキシムの下方配位子を変化させて反応性を検討し、この転移過程に於てイオウ-コバルト間の配位相互作用が重要な役割を演じていることを明らかにすることが出来た。 4。S→Niのメチル基転移は生体内ではRS-CH_3+R′SH+(Ni)→RS-SR′+(Ni)CH_3の反応形式で起こっている。この転移反応に対し、我々は-S^^・(CH_3)-S-のスルフラニルラジカルの重要性を想定し、ビス-3-(1,3-プロピルジイミノ)-2-ブタンオキシムのニッケルチオラート錯体を用いてこの転移反応のモデル化に成功している。
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[Publications] 五十嵐 庸・多田 愈: "Photochemical Arylmethylation of the Pyrazine Derivatives Having Electronegative Substituents." Heterocycles. 38. 2277-2288 (1994)
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[Publications] 武藤 信之・多田 愈: "The Reaction of (3-Furyl)methylcobaloxime with Dienophiles.Variable Mode of the Reaction by the Type of Dienophile" Journal of Organic Chemistry. 60(3月号予定). (1995)