1993 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
05453057
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
渡辺 巌 大阪大学, 理学部, 助教授 (50028239)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
文珠四郎 秀昭 大阪大学, 理学部, 助手 (80191071)
樋上 照男 大阪大学, 理学部, 助手 (50143821)
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Keywords | EXAFS / 電子収率XAFS / 全反射XAFS / 溶液表面 / 溶媒和構造 / 臭化物イオン |
Research Abstract |
1.溶液表面・界面に存在する化学種の溶媒和構造に関する知識は溶媒抽出(二相界面を物質が移動する速度)やLB膜の生成の解析などにとって非常に重要であると考えられる。しかし、その知見を得るために使用できる研究法はあまりない。本研究ではイオンなどの溶媒和構造を与えるX線吸収微細構造解析法(EXAFS法)と物質の表面分析に向いた転換電子検出法を組み合わせ、しかもこれを溶液表面に適用する全く新しい分光分析法を開発した。測定は高エネルギー物理学研究所放射光実験施設にて行なった。 2.X線直入射-転換電子収率XAFS法.水溶液を上下方向に流し、これに垂直に単色化X線を照射して溶液表面から放出される転換電子電流を観測する装置を作製した。これによると表面活性な塩を溶解させた水溶液表面の臭化物イオンの溶媒和構造は透過法による結果と変わらなかった。さらに塩の濃度と検出される信号強度がよい比例関係にあることから表面選択性が本研究の目的のためには充分ではないことが分かった。ただし、他の金属イオンなどについても透過法と同一のEXAFSが得られることから本測定法は透過法が使用できない形態の試料に活用可能なことが分かった。 3.全反射-転換電子収率XAFS法.最表面についてのみ感度を持たせるために入射X線を非常に浅い角度(すれすれ入射:約1mrad)で溶液表面に入射させ全反射条件での測定を試みた。その結果、表面活性な陽イオンに吸着して界面に偏析している臭化物イオンのEXAFSを初めて観測することに成功した。未だ信号にノイズが多く詳しい解析ができる状態には至っていないが今後の装置の開発により、種々の陰イオン・陽イオンの界面における溶媒和構造をバルクのそれと比較可能になるものと考えている。
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Research Products
(6 results)
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[Publications] I.Watanabe: "Optical Oxidation Potential:A New Measure for Reducing Power." Anal.Sciences. (in press). (1994)
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[Publications] H.Sakane: "Solvent Effects on Cobalt(III) and Chromium(III) Oxalato Complexes by X-ray Absorption Fine Structure." Polyhedron. (in press). (1994)
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[Publications] K.Sakai: "Vertical Ionization Potentials of Alkoxides in Solution." Bull.Chem.Soc.Japan. 67. 360-362 (1994)
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[Publications] I.Watanabe: "Ionization Potentials of Iodide,Bromide,and Thiocyanate Anions in Solvents." Bull.Chem.Soc.Japan. 67. 39-45 (1994)
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[Publications] H.Sakane: "Reproducibility Tests of Extended X-Ray Absorption Fine Structure for Aqua and Ammine Complexes of First Transition Metals" Japanese J.Appl.Phys.32. 4641-4647 (1993)
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[Publications] K.Yokoi: "Studies on the Structure of Mo(VI) in Acidic Solution by XANES and EXAFS." Polyhedron. 12. 911-914 (1993)