1993 Fiscal Year Annual Research Report
高配位典型元素を有する含酸素4員環化合物の合成とその分解反応の機構
Project/Area Number |
05453062
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
川島 隆幸 東京大学, 大学院・理学系研究科, 助教授 (80011766)
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Keywords | 5-配位オキサホスフェタン / 5-配位オキサシレタニド / Wittig反応 / Peterson型反応 / 反応中間体 / オレフィン合成 / X-結晶構造解析 / 三方両錐構造 |
Research Abstract |
1.Martinリガンドを有する3-メトキシカルボニル-1-フェニル-1,2-オキサホスフェタンの合成についてはまず、4,4-ジフェニル体に4当量のブチルリチウムを作用させ、3-位をリチオ化し、重水素化あるいはアルキル化することを検討した。その結果、置換基はいずれもリン原子上のフェニル基の側から導入されることがわかった。そこで、同様にクロロギ酸エチルと反応させたところ、目的化合物をNMR的に初めて観測することができた。しかし、室温での単離は困難であったので、4-位の置換基をトリフルオロメチル基にかえて同様な検討を行い、3-位にカルボニル基を持つオキサホスフェタンとしての最初の例である目的化合物を安定に合成・単離することに成功した。その結果は速報として報告した。2.Peterson反応中間体、5配位1,2-オキサシレタニドについては、Martinリガンドを有するビニリシランへのt-BuLiのMichael付加、続く、ヘキサフルオロアセトンの反応でβ-ヒドロキシアルキルシランを合成した。精製過程で一つのジアステレオマーのみとなり、これをn-BuLiまたは18-クラウン-6存在下のKHで脱プロトンし、低温NMRにより追跡したところ、オキサシレタニドが定量的に生成することがわかった。カリウム塩は空気中室温でも安定な無色針状結晶として得られ、X-線結晶構造解析により少し歪んだ三方両錘構造をしていることが明らかになった。アセトニトリル中70℃前後に加熱すると相当するオレフィンを定量的に与えることからPeterson反応の中間体であることがわかった。一方、ベンズアルデヒド付加体も一つのジアステレオマーが安定に単離され、同様な処理により、一方のオレフィンのみが得られたことから、反応が立体特異的に進行していることが明らかになった。一部は速報として報告済みである。さらに、スズ-Peterson反応中間体の合成についても検討し、予備的な結果を得、速報として報告した。
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[Publications] T.Kawashima: "Synthesis,Strucutre,and Thermolysis of a 3-Methoxycarbonyl-1,2λ^5-oxaphosphetane" Angew.Chem.,Int.Ed.Engl.32. 869-870 (1993)
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[Publications] T.Kawashima: "Cystal Structure and Reactivity of a Pentacoordinate 1,2-Oxastannetanide: An Intermediate of the Tin-Peterson Reaction" J.Am.Chem.Soc.115. 2507-2508 (1993)
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[Publications] T.Kawashima: "Syntheses,Structures,and Thermolyses of Tetracoordinate 1,2-Oxaselenetanes" J.Am.Chem.Soc.115. 10434-10435 (1993)