1994 Fiscal Year Annual Research Report
液中原子間力顕微鏡による固液界面現象の局所動的解析に関する研究
Project/Area Number |
05453070
|
Research Institution | KYOTO UNIVERSITY |
Principal Investigator |
岡崎 敏 京都大学, 工学部, 教授 (40025383)
|
Keywords | 超高真空原子間力顕微鏡 / 液中測定用原子間力顕微鏡 / 雰囲気制御型原子間力顕微鏡 / パラジウム電極 / ITO光透過性電極 / 酸化還元挙動 / 長鎖アルキル置換ピロール薄膜 / 電極表面のキャラクタリゼーション |
Research Abstract |
電極反応過程における電極表面のin situ動的観測を可能にし、複雑な固液界面現象を原子、分子レベルで解析することを目的として、超高真空原子間力顕微鏡(UHV-AFM)を開発、導入した。まず、UHV-AFM装置に適したカンチレバ-の高感度変位検出方式について光検出方式とトンネル電流検出方式の両法について詳細に比較検討した結果、近接場走査光学顕微鏡における光学探針のAFM制御への応用をも考慮して、トンネル電流検出方式を採用した。本UHV-AFMは、原子レベルの高分解能を有しながら、X-Y走査範囲は最大1.0μmと広域測定にも適用でき、また、アルゴンガスなどの不活性ガス雰囲気下での液中測定に適しているという大きな特色を有している。本装置による電極反応過程の原子、分子レベルでの表面観測により、金属の電析や腐食初期過程、及び導電性有機薄膜形成過程の観測が可能になった。 次に、AFM観測用の金、白金及びパラジウム電極をスパッタリング法により製作し、これらの電極を用いて塩化カリウム及び塩酸支持電解質中における電気化学的挙動をサイクリックボルタンメトリーにより解析するとともに、UHV-AFMにより、酸化及び還元雰囲気下での電極表面のキャラクタリゼーションを行った。その結果、特にパラジウム電極表面は他の電極とは著しく異なりPdが多孔質粒子を形成していることがわかった。また、酸化及び還元により、Pd粒子の配列が特異的な挙動を可逆的に示すことを見いだした。さらに、ITO光透過性電極上に電解重合させたポリピロール薄膜の観測を行った。無置換及び長鎖アルキル基置換ピロールポリマーの表面観測結果から、極性の高いITOガラス表面に対してピロールの-NH部分が結合し、長鎖アルキル基が比較的規則的に配列している様子を観測した。 現在、種々の電極上への各種金属の電解析出及び有機薄膜形成の初期過程の動的観察を中心に研究を進展させている。
|
Research Products
(7 results)
-
[Publications] S.Okazaki: "Resonance Raman Measurement of Electrochemically Generated Short-lived Intermediates by Means of a Pulse Electrolytic Stopped Flow Method" J.Electroanal.Chem.346. 281-290 (1993)
-
[Publications] S.Okazaki: "Electrochemical Reduction of Cytochrome by Using a Column-Electrolytic Continuius-Flow method" Denki Kagaku. 61. 778-779 (1993)
-
[Publications] S.Okazaki: "Spectroelectyrochemical Studies on Biological Compounds by a Direct Electrolysis Method Using a Column Electrode and Flow Technique" ″Redox Mechanicals and Interfacial Properties of Molecules of Biological Importance″ J.Electrochem.Soc.Inc.343-354 (1993)
-
[Publications] S.Okazaki: "Development of Short-Pulse Fast-Scan Cyclic Differential Pulse Voltammetry Using a Microelectrode" Denki kagaku. 61. 823-824 (1993)
-
[Publications] 岡崎敏: "非線形最小自乗法と数値偏微分法を用いる交流ポーラログラフィーのデータ解析" 分析化学. 43. 325-331 (1994)
-
[Publications] 岡崎敏: "カーボンファイバー微小円盤電極を用いた高速ボルタンメトリー" 分析化学. 43. 719-722 (1994)
-
[Publications] 岡崎敏(分担執筆): "機器分析におけるコンピュータ利用" 日本分析化学会編 朝倉書店, 126 (1995)