1993 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
05453073
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
島田 昌彦 東北大学, 素材工学研究所, 教授 (80029701)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
滝沢 博胤 東北大学, 素材工学研究所, 助手 (90226960)
遠藤 忠 東北大学, 工学部, 教授 (30176797)
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Keywords | タンタル酸塩化合物 / 高輝度発光体 / 青色蛍光体 / エネルギー回遊 / 希土類固溶蛍光体 |
Research Abstract |
母結晶の次元性、特に層状構造に着目して、二重Ta-O層で隔てられた(Y,Ta)-O層からなるYTa_7O_<19>を母結晶に選び、高輝度青色蛍光体の材料開発の基礎的研究を行った。 1.出発原料粉末としてY_2O_3Tm,_2O_3とTa_2O_5を用い、(Y_<1-x>Tm_x)Ta_7O_<19>の組成式に秤量し、湿式混合した。乾燥後、大気中1500℃で12時間焼成することによってTm^<3+>の低濃度側では0≦x≦0.1の組成領域で単一相を合成することができた。しかし、Tm^<3+>の濃度が10モル%以上に増加するにつれて、α-Ta_2O_5などの副生成物の生成が顕著となり、全濃度範囲で単一相を得るには至らなかった。そこで、出発原料酸化物を固溶体組成になるように秤量して12MHNO_3を加えて溶解し、溶液を蒸発乾固する硝酸塩共分解法により原料を調整し、空気中1200℃で24時間焼成することによって(Y_<1-x>Tm_x)Ta_7O_<19>(0≦x≦1.0)完全固溶体を合成することに成功した。 2.(Y_<1-x>Tm_x)Ta_7O_<19>ではTm^<3+>による460nm付近の青色発光が観測できた。発光強度の依存性から最大発光強度を得るxの値は0.2付近となり、(Y_<1-x>Tm_x)AlO_3最大発光強度を与える。x=0.013に比べてかなり高い値であり、濃度消光が高濃度で起こることは、本研究で得られた固溶体が高輝度青色発光材料の可能性があることを示唆している。濃度消光が高濃度領域で起こるのは、YTa_7O_<19>中のY^<3+>サイト間距離が0.6205nmと0.37nmのY^<3+>サイト間距離をもつYAlO_3に比べると大きく、共鳴伝達による励起エネルギーの緩和が抑えられたことに起因するものと考えられる。加えて、結晶構造に強く依存した二次元的なTm^<3+>間でのエネルギー回遊が起こっているものと考えられる。 本研究で得られた新規完全固溶体(Y_<1-x>Tm_x)Ta_7O_<19>の発光特性の詳細な検討としては、今後蛍光寿命の測定結果に基づいて検討すると同時に、電子線励起による発光特性の評価を行い、高輝度青色発光材料開発の基礎的研究を行う。
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Research Products
(1 results)