1993 Fiscal Year Annual Research Report
セラミック細孔への金属電析とその材料の力学的・電気的特性
Project/Area Number |
05453080
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Research Institution | Kagoshima University |
Principal Investigator |
平田 好洋 鹿児島大学, 工学部, 助教授 (80145458)
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Keywords | 金属電析法 / セラミック細孔 / 複合材料 / 電析速度 / 電析効率 |
Research Abstract |
セラミックスの靱性強化及び導電性の付与、金属の強度・硬度及び耐食性の向上等を目的に、本研究ではセラミックス/金属系の組織を化学的に制御できる方法として多孔質セラミックスを利用した電析法を検討した。この方法は(1)セラミック多孔体の細孔構造がセラミックス/金属複合材料の組織を制御する、(2)室温の電析により材料を合成でき、金属の融点等が合成上の問題とならない、(3)通電量の制御によりセラミックス/金属の傾斜機能化が可能である、という大きな特徴を有する。本研究ではアルミナ/ニッケル系材料をモデルとして、実験的に上記(1)〜(3)を証明する。厚さ2-4mmのアルミナ多孔板の両面に金を蒸着して陰極、陽極とした試料について、硝酸ニッケル(0.05mol/l)/グリコール酸(0.4mol/l)/硫酸アンモニウム(0.4mol/l)/尿素(0.4mol/l)の混合塩水溶液中で1.00〜15.33時間、ニッケルをアルミナ細孔中に電析させた。実験は室温及び60℃において10V,110mA,0.01-100Hzのパルス波を用い、1周期での通電時間の割合を10%と50%で変化させた。上の系におけるNiの還元は2.75V以上において水の電解とともに進行することが明らかとなった。アルミナ多孔体を通過しないNiイオンは金電極上で時間の一次に比例して還元され、この傾向は直流波、パルス波いずれも同じであった。しかし、直流波よりパルス波によるNi膜の方が緻密で均質な組織を有していた。Niの電析量に対するパルス波周波数の影響は小さかった。一方、アルミナ細孔中のNiイオンは直流波、パルス波いずれも電極上で時間のほぼ0.5乗に比例して還元された。すなわち、金属イオンの電極部への拡散過程が電析速度を支配しているといえる。また、電析効率(eta)は時間が長くなるとともに、あるいは通電量(Q)の増加とともに減少し、etaは1/√<Q>に比例することが実験的に明らかとなった。Niの電析量に及ぼす温度(25℃,60℃)及び電極間距離の効果は小さかった。
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