1994 Fiscal Year Annual Research Report
セラミック細孔への金属電析とその材料の力学的・電気的特性
Project/Area Number |
05453080
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Research Institution | Kagoshima University |
Principal Investigator |
平田 好洋 鹿児島大学, 工学部, 教授 (80145458)
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Keywords | 金属電析法 / セラミック細孔 / 複合材料 / 傾斜材料 / ビッカース硬度 / 非線形破壊 |
Research Abstract |
セラミックスの靱性と導電性の向上を主を目的として、多孔質セラミックス中へ金属イオンを放電電着させる金属電析法を検討した。この方法による複合化は(1)金属を溶融する必要がなく、操作が容易である、(2)セラミックス多孔体の細孔構造が最終の金属/セラミックス系材料の組織を制御する、(3)通電量の制御により金属/セラミックスの傾斜化が可能という特徴を有する。本研究ではニッケル/アルミナ系をモデルとして実験的に上記(1)〜(3)を証明する。 平成6年度は硝酸ニッケル/尿素/エチレングリコール/硫酸アンモニウム混合水溶液に0〜110mAの直流波及び円錐波電流を通電し、気孔率38-63%の多孔質アルミナにニッケルを充填した。電析したニッケルの重量は電析時間の0.22-0.64乗に比例した。ニッケルの電析速度は円錐波より直流波に対して高く、また高い気孔率のアルミナで高かった。円錐波の使用は、直流波を用いた多孔質アルミナ中で観察されたニッケルの樹枝状成長を抑制するように思われた。以上の結果を踏まえ、比表面積10m^2/g(等価球状粒子径150nm)のアルミナ粉体を6.5×4×40mm^3の直方体に300MPaで成形し、仮焼後200mAの直流波を2時間通電し試料の二面にニッケルを電析させた。この試料はアルゴン雰囲気中、1350℃で相対密度93-94%に緻密化した。複合材料の98Nにおけるビッカース硬度は、表面から1.5mmのニッケルを含有する領域では17.5GPaで、それより内部では徐々に硬度は上昇し、2.5mmの内部では21.5GPaに達した。これはアルミナよりニッケルの硬度が低いことと表面からニッケル量が徐々に減少した傾斜材料になっているためである。複合材料はアルミナ単体より強度が高く、破壊に至るまでの変形量が大きい非線形破壊挙動を示し、セラミックスの靱性を向上できた。現在、この材料の破壊挙動の詳細な解析と導電性について実験を行っている。
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[Publications] Yoshihiro Hirata: "Infiltration of Nickel into Porous Alumina by Electrodeposition" Materials Letters. 21. 155-159 (1994)
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[Publications] Yoshihiro Hirata: "Infiltration of Nickel into Alumina Compact by Electrodeposition" Proceedings of the International Conference on Ceramic Proceesing Science and Technology,Am.Ceram.Soc.(印刷中). (1995)
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[Publications] Yoshihiro Hirata: "Electrodeposition of Nickel into Porous Alumina Compact" Journal of the Ceramic Society of Japam. 103(印刷中). (1995)