1994 Fiscal Year Annual Research Report
微細結晶粒子による結晶成長の促進効果と結晶品質に与える影響
Project/Area Number |
05453098
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Research Institution | Tokyo University Of Agriculture & Technology |
Principal Investigator |
松岡 正邦 東京農工大学, 工学部, 教授 (40016671)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
滝山 博志 東京農工大学, 工学部, 助手 (40251582)
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Keywords | 晶析 / 核発生 / 粒径分布 / 微細結晶 / 成長促進 / 成長機構 |
Research Abstract |
本年度は、昨年度に引き続いて食塩及びカリ明礬結晶成長促進現象の解明を行うとともに、同現象が結晶品質へ与える影響を検討した。 まず、過飽和水溶液中で成長する食塩結晶の成長速度が、核発生により生じた微結晶によって促進される現象を実験的に詳細に検討した。実験では結晶の成長速度の変化を測定する同時に、溶液の濃度の変化と発生した微結晶の粒径分布および個数を測定した。成長挙動を解析し、微結晶の発生時における成長速度促進係数を求めて、実験結果を整理したところ、核発生が十分に起きる条件で発生した微結晶による成長速度の促進効果が大きいことが明らかとなった。さらに粒径分布の解析から成長の促進に関与する微結晶の粒径をサブミクロン程度と見積もった。更に成長後の結晶を光学顕微鏡、SEM、EPMAにより観察し、成長促進現象によって成長した部分には母液の取り込みが見られ結晶の品質が低下していることを明らかにした。同様な実験を透明性の優れているカリ明礬で行い内部を光学顕微鏡で観察したところ、多くのインクルージョンが見られた。この結晶のX線トポグラフ法による解析を英国のストラスクライド大学に依頼中して行ったところ成長促進が見られた時点の界面とそれに続く部位に多くの欠陥が見られた。 一方、結晶と母液のdiffuseな界面を想定して成長促進機構を考察し、これから発生した異物質の微結晶が母胎となる結晶の成長界面へ組み込まれる可能性を実験的に検討した。食塩-塩化カリの水溶液を用いて得られた結晶をEPMAで解析したところ食塩の結晶上に塩化カリウムの微結晶の析出が見られ、これにより複合結晶の成長が確認でき新材料の開発に応用できると期待される。これらの成果を2報として投稿中であり1報を準備中である。
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