1993 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
05453105
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
新井 邦夫 東北大学, 工学部, 教授 (10005457)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
阿尻 雅文 東北大学, 工学部, 助教授 (60182995)
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Keywords | 固体触媒 / 超臨界流体 / ピッチ / 脱窒素 / 反応速度 / 溶媒和 |
Research Abstract |
固体触媒を用いたコールタールピッチからの水素化脱窒素プロセスでは、触媒上へのコークの析出と溶融ピッチ中の低い水素の拡散速度に起因する低い反応速度が問題であった。著者らは、超臨界流体を反応溶媒として用いると、コーク析出による触媒の活性低下を抑制しつつ高い反応速度が得られることを見いだした。本年度の研究では、触媒脱窒素の反応速度を、超臨界相での反応と液相反応(1メチルナフタレン-テトラリン30vol%)とで比較し、超臨界相(トルエン-テトラリン30vol%)で反応の特性について検討を行った。超臨海流体中での高い反応速度の一因として、液相より物質移動速度が高いことが考えられたため、430℃、15MPaで触媒の粒径0.11〜0.85mmに変化させた実験を行ない、反応速度の比較を行った。その結果、超臨界相、液相反応ともに、粒径による反応速度の差異はなく、本実験条件下では両相の反応とも反応律速であることが確認できた。すなわち、超臨界相での反応では素反応速度そのものが液相反応より高いことが確認できた。次に、反応時間を変えた実験を行い、GC-MSとGC-FIDによりピッチ中の各含有窒素化合物が脱窒素していく過程を追跡した。塩基性の窒素化合物はいずれも極めて速く脱窒素し、液相、超臨界相反応の間でも差異はほとんどみられなかった。一方、中性の窒素化合物の脱窒素反応速度は遅く、この速度は超臨界相の方と液相よりも大きかった。この反応速度の促進の機構としては、中間体の脱離速度が向上したため等が考えられるが、今後、モデル窒素化合物等を用いた実験によって、反応機構のより詳細な検討を行っていく。
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