1993 Fiscal Year Annual Research Report
有機金属錯体触媒の光化学的固定化と設計の基礎的研究
Project/Area Number |
05453107
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
森川 陽 東京工業大学, 工学部・化学工学科, 教授 (00016396)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
海老谷 幸喜 東京工業大学, 工学部, 助手 (50242269)
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Keywords | 有機金属錯体 / 光化学的固定化 |
Research Abstract |
多孔質バイコールガラス(PVG)に担持したバスカ型ロジウム錯体、RhCl(CO)(PMe_3)_2、はC-H結合の活性化と伴うアルカンからアルケンへの脱水素反応およびアルケンの水素化反応に低温(0〜50℃)で有効に作用する光触媒であることが判明した。反応の経時変化から、PVG担持ロジウム錯体の光照射による構造変化が推測された。この光照射によるロジウム錯体の構造変化を質量分析器、ロジウム錯体の紫外可視吸収スペクトル、赤外吸収スペクトルおよび広域X線吸収微細構造スペクトルにより詳細に検討した。また、2-メチルプロパンの脱水素化反応において、反応物の圧力および照射する光の強度依存性などの反応の動力学検討も行った。その結果、担持直後のロジウム錯体は、ほぼバスカ型と同一の構造を持つが、光照射により配位子であるCOまたはフォスフィンを脱離し、PVG表面の酸素と相互作用した様々な構造を持つロジウム単核種に変化することが明かとなった。また、これらロジウム単核種の構造を、光照射時間をかえることにより制御することが可能であった。様々な構造を持つロジウム単核種の光励起状態を経由する光触媒的脱水素機構を提案し、それが反応の動力学的結果を満足することを立証した。 さらに、バスカ型以外の有機ロジウム錯体CpRh(CO)_2をPVGに担持し、アルケン水素化反応活性を検討した。この有機ロジウム錯体は、均一反応系では触媒として作用しないが、PVGに担持すると優れた水素化触媒として作用することが判明した。現在、PVG担持CpRh(CO)_2の触媒作用機構および錯体の構造を検討中である。
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