1993 Fiscal Year Annual Research Report
有機溶媒と非天然型基質導入による生体触媒の新利用法の開拓
Project/Area Number |
05453111
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
田中 渥夫 京都大学, 工学部, 教授 (80026088)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
川本 卓男 京都大学, 工学部, 助手 (10231276)
植田 充美 京都大学, 工学部, 助教授 (90183201)
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Keywords | 生体触媒 / 非天然型アミノ酸 / 有機ケイ素化合物 / ペプチド合成 / エステル化 / ハロフェニルアラニン / 有機溶媒 / 生化学反応 |
Research Abstract |
生体触媒を異常な環境下に置くことによって、生体触媒の潜在的な能力を引き出し、新しい利用法を開拓することは重要である。これまでにも生体触媒を有機溶媒などの異常環境下で用いた研究はあるが、基質の面からの異常環境である非天然型基質を取り扱ったものは限られていた。そこで、本研究では、生体触媒にとって新規な化合物である非天然型化合物を基質として導入して、有機溶媒中での生体触媒のさらなる可能性を追求した。非天然型基質としては、新規な生理活性等が期待される非天然アミノ酸や、有機合成の分野で重要な有機ケイ素化合物を取り上げ、その生化学的変換を行った。(1)非天然アミノ酸をプロテアーゼの基質として用いて、これらを含むペプチドの合成を試みた。その結果、サーモリシンを用いることによって、カルボキシル成分かアミノ成分の一方に非天然アミノ酸としてハロフェニルアラニンを含むZ-Phe-Phe-OMe誘導体の合成が出来ることを見い出した。その際に、ハロフェニルアラニンをカルボキシル成分とするかアミノ成分とするかによって、またハロゲンの種類や置換位置によっても反応性に著しい差を生じることが明らかとなった。さらに、サーモリシンはこれら非天然アミノ酸に対しても高いエナンチオ選択性を示すことも明らかにした。(2)有機ケイ素化合物として、含ケイ素医薬(シラ医薬)の前駆体などへの応用が考えられるケイ素原子をキラル中心とする1級アルコールを選び、加水分解酵素によるエナンチオ選択的エステル化反応を検討した。その結果、市販の粗パパインがエチルメチルフェニルシリルメタノールを良い基質とすることを見い出しただけでなく、高いエナンチオ選択性で本化合物の効率の良い光学分割に成功した。
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Research Products
(6 results)
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[Publications] Akinori Uejima: "Efficient kinetic resolution of organosilicon compounds by stereoselective esterification with hydrolases in organic solvent" Applied Microbiology and Biotechnology. 38. 482-486 (1993)
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[Publications] Yuko Imaoka: "Peptide synthesis with halophenylalanines by thermolysin" Applied Microbiology and Biotechnology. 40. 653-656 (1994)
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[Publications] Yoshihisa Tsuji: "Enantioselective dehydrogenation of β-hydroxysilanes by norse liver alcohol dehydrogenase with a novel in situ NAD^+ regeneration System" Applied Microbiology and Biotechnology. 41(in press). (1994)
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[Publications] Toshiaki Fukui: "Enzymatic preparation of optically active Silylmethanol derivatives having a stereogenic silicon atom by hydrolase-catalyzed enantioselective esterification" Tetrahedron:Asymmetry. 5. 73-82 (1994)
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[Publications] Atsuo Tanaka: "Enantioselective bioconversion of non-natural compounds" Biocatalysis. (in press). (1994)
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[Publications] Atsuo Tanaka: "Organosilicon biochemistry" CHIMICAoggi. (in press). (1994)