1993 Fiscal Year Annual Research Report
超高感度・超微少量計測のための“一滴溶媒濃縮法"の開発
Project/Area Number |
05453113
|
Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
四ツ柳 隆夫 東北大学, 工学部, 教授 (00001199)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
金子 恵美子 東北大学, 工学部, 助手 (00241539)
星野 仁 東北大学, 工学部, 助教授 (20124620)
|
Keywords | 一滴溶媒濃縮法 / HPLC / コバルト / 2,2'-ジヒドロキシアゾベンゼン |
Research Abstract |
微量計測のための新しい高倍率濃縮法として,微少量試料からミクロ体積(μl レベル)の高沸点有機溶媒へ濃縮する方法を開発し,本年度の目的を達成した.本法の特徴は,沸点の差異を利用して有機相中の微量化学種を微少量かつ一定体積の溶液状態に規則できる点にある.具体的な成果としては次の事項があげられる. 1.溶媒の選択:溶媒系の探索研究の中から揮発性溶媒としてクロロホルム,高沸点濃縮溶媒としてジメチルスルホキシド(DMSO)の組合せが良好な特性をもつことを明らかにした.DMSOは濃縮サンプルを逆相分配(RP)-HPLCへ導入する際に最適のクロマトグラフィー分離をもたらす水溶性溶媒でもある. 2.HPLCへの適用:RP-HPLCのクロマトグラムは注入試料中の有機溶媒によって顕著な影響を受け,ピーク高の低下やピーク割れ現象を引き起こす場合が見られるが,1:1 DMSO-水では良好なピークプロファイルが得られることが判明した. 3.コバルトの1000倍濃縮/HPLC法の確立:(1),(2)の成果に基づき,pptレベルのコバルト(II)イオンの定量法を確立した.錯形成試薬として2,2'-ジヒドロキシアゾベンゼン(DHABまたはH_2L)を用いたが,高倍率濃縮の結果,過剰の試薬が溶解度を越える障害を回避するために,H_2Lが中性種としてクロロホルムへ抽出される特性を利用して,あらかじめ過剰試薬を除去したのち,目的とするコバルト-DHAB錯体,[CoL_2]^-,をイオン対抽出し,両者の分離を達成した.クロロホルムを分相後,DMSO 100 μlを添加して前者を蒸発除去しDMSOへの1000倍濃縮を行う.これをHPLCへ導入して得られた検出限界は1.8pptであった.次年度は,HPLC系の拡張およびキャピラリー電気泳動への適用を計画している.
|
Research Products
(2 results)
-
[Publications] 金子恵美子: "一滴溶媒濃縮法/イオン対逆相分配高速液体クロマトグラフィーによるpptレベルのコバルトの定量" 分析化学. 42. 753-757 (1993)
-
[Publications] N.Iki: "High-Performance Separation and Determination of Co(III) and Ni(II) chelates of 4-(2-Pyridylazo)resorcinol at Femtomole Levels by Capillary Electrophoresis." Chemistry Letters. 1993. 701-704 (1993)