1993 Fiscal Year Annual Research Report
極紫外共鳴ラマン分光法による脂質二重層中の機能性ペプチドの状態分析に関する研究
Project/Area Number |
05453115
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
一瀬 光之尉 京都大学, 工学部, 教授 (00025917)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
稲葉 稔 京都大学, 工学部, 助手 (80243046)
老木 成稔 岡崎国立共同研究機構, 生理学研究所, 助教授 (10185176)
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Keywords | 極紫外共鳴ラマン分光法 / 機能性ペプチド / 脂質二重層膜 / 状態分析 |
Research Abstract |
次の点が明らかになった。(1)狭帯域化Ar-Fエキシマレーザによる193nmの励起では、アミド結合の真性共鳴によって、水中、および飽和脂質2重層膜中のペプチドのアミドバンドI、II、III、2Vの4種のバンドピークを高い質量感度で明瞭に観測できる。Trpは妨害せず、Tyr、Pheの1個あたりのバンドは、残基1個あたりの約7倍程度で出現する。(2)DPPC中のグラミシジンAの上記4種のアミドバンドの基準振動解析(Krimmの力の定数を利用)の結果、膜中ではβ^<6.3>のヘリックス構造をとっており、また、膜中での解析に、結晶中でリファインされた力の定数が転用できると考えられることが明らかになった。(3)ポリアラニンおよびグラミシジンSの、本法およびCD法による測定・解析の結果から、βシートについては、水溶液、膜中ともに、これら環境の影響は受けず、結晶中とほぼ同様の解析が可能と考えられる。(4)αヘリックスについては、メリチンの水中での4量体の、本法およびCD法の測定結果から、バンドルを構成するαヘリックス同士は相互作用をしており、これがラマンに反映される。その結果、バンドル構造を持つレセプタの振動解析が可能と考えられる。(5)ロイシン-およびメチオニン-エンケファリンは193nm励起では水中で明瞭に上記4種のアミドバンドを与え、かつ、両者に差が観測されることから、これらのホルモンペプチドの主鎖は、水中で完全にランダムでなく、ある制限された構造をとっている。(6)MD計算と基準振動解析から、短い、ディ、トリペプチドの場合でも、ある構造を平均的に取っていると考えられる。
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