1993 Fiscal Year Annual Research Report
光誘起電子移動反応による安定なラジカルによる特異的会合と光機能に関する研究
Project/Area Number |
05453118
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Research Institution | Shizuoka University |
Principal Investigator |
長村 利彦 静岡大学, 電子工学研究所, 教授 (90117200)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
坂口 浩司 静岡大学, 電子工学研究所, 助手 (30211931)
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Keywords | イオン対電荷移動錯体 / 光誘起電子移動反応 / ラジカル / 電荷共鳴吸収スペクトル / スチリルビリジニウム / 分子間相互作用 / 電子スピン共鳴スペクトル / フォトクロミズム |
Research Abstract |
1.ジシアノビニル基をもつスチルバゾリュームを新たに合成しテトラフェニルホウ酸塩とした。この化合物は低極性溶媒中でアニオンをドナー、カオチンをアクセプターとするイオン対電荷移動錯体を形成することがわかった。それを脱気下で光励起すると光誘起電子移動反応が起こりスチリルピリジニルラジカルが生成した。吸収スペクトルは可視(約640nmにピーク)及び近赤外域(1120nmにピーク、約1000nmにショルダー)に観測された。電子スピン共鳴スペクトルは、照射中及び未照射溶液との混合前はブロードで構造のないシングレットであった。未照射溶液と混合すると超微細構造が現われ、シミュレーションからラジカルと親分子スチリルピリジニウムカチオンが相互作用したダイマーラジカルカチオンに帰属され、近赤外域の吸収スペクトルもこれによる電荷共鳴吸収と考えられた。ブロードなシングレットは電子スピンの交換相互作用によっており、光生成スチリルピリジニルラジカル同志あるいは親分子との相互作用が大きいことがわかった。これまでの結果とあわせて強い電子吸引基を導入することでスチリルピリジニルラジカルの安定化ができることが確認され、それに基づく特異的会合と物性が実現された。 2.上記化合物またはニトロ誘導体の溶液をクライオスタットにより-50℃付近の低温で光照射すると、定常的ラジカル生成は観測されなかった。これは低温で逆反応が極めて速くなるためと考えられ、レーザーフォトリシスも含めてさらに詳しく検討する予定である。 3.光誘起電子移動でラジカル生成する4,4'-ビピリジニウム塩を主鎖に含む高分子を合成し、示差熱分析から微視的環境でラジカルの安定性が制御できることを明らかにした。
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[Publications] Toshihiko Nagamura: "Optical waveguide studies on photoinduced electrochromism in ultra-thin films of ion-pair charge-transfer complexes of 4,4'-bipydinium ions" Thin Solid films. (in press). (1994)
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[Publications] Toshihiko nagamura: "Ultrafast colour changes in organic thin films based on photoinduced electron transfer reactions" Molecular Crystals and Liquid Crystals. (in press). (1994)
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[Publications] Toshihiko Nagamura: "Ultrafast photon-mode recording by novel photochromic polymer via photoinduced electron transfer" Applied Physics Letters. 63. 2762-2764 (1993)
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[Publications] 酒井謙吉: "4,4'-ビピリジニウム・テトラキス[3,5-ビス(トリフルオロメチル)フェニル]ボレート塩のイオン対電荷移動錯体形成と可逆的光応答" 静岡大学電子科学研究科報告. 15. 47-50 (1994)
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[Publications] Toshihiko Nagamura: "Sensitive detection of photoinduced electrochromism in ultrathin organic films" Journal of Photopolymer Science and Technology. 6. 133-138 (1993)
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[Publications] Toshihiko Nagamura: "First charge resonance band observed by steady photolysis at room temperature in solution" Journal of Chemical Society;Chemical Communications. 599-601 (1993)