1993 Fiscal Year Annual Research Report
光学活性α-オキシ有機スズ化合物の合成とその不斉合成への展開
Project/Area Number |
05453136
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
中井 武 東京工業大学, 工学部, 教授 (90016717)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
友岡 克彦 東京工業大学, 工学部, 助手 (70207629)
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Keywords | 光学活性α-オキシ有機スズ化合物 / 不斉合成 / カルボアニオン反応 / 不斉[2,3]Wittig転位 |
Research Abstract |
光学活性α-オキシ有機スズ化合物の合成とその不斉合成への展開に関する本研究の1年間の研究成果は以下の通りである。 1.α-ヒドロキシ有機スズ化合物の不斉合成 W.S.Johnsonの“キラルアセタール法"を応用することにより、光学活性α-ヒドロキシ有機スズ化合物(α-スタニルアルコール)の不斉合成に成功した。すなわち、光学活性2,4-ペンタンジオールを不斉源に用いたα-スタニルアセタールを調製し、このキラルアセタールと有機金属反応剤との開環反応、次いで酸化、塩基処理することにより種々の光学活性α-ヒドロキシ有機スズ化合物を最高>95%eeの光学純度で合成することに成功した。本反応で合成した光学活性α-ヒドロキシ有機スズ化合物は絶対立体配置が規定されたα-オキシリチウム活性種の優れた前駆体であり種々のカルボアニオン反応の立体化学解明に活用できる。 2.不斉[2,3]Wittig転位の立体化学 光学活性α-オキシ有機スズ化合物から光学活性α-(アリルオキシ)スタナンおよびα-(プロパルギルオキシ)スタナンを合成し、これにブチルリチウムを作用させて“カルボアニオン炭素上の絶対立体配置の規定された[2,3]Wittig転位"を行った。その結果、転位はいずれの場合にもリチウムが結合しているカルボアニオン炭素上で立体配置の反転を伴い進行していることを明らかにした。 更に光学活性α-オキシ有機スズ化合物と光学活性アリルアルコールから調製した基質を用いて重複不斉転位を行い[2,3]Wittig転位の遷移状態構造について新たな知見を得た。
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Research Products
(2 results)
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[Publications] 中井 武: "[2,3]Wittig Rearrangement of Enantiomerically-Defined α-(Allyloxy)stannanes:Solid Evidence for Inversion of Configuration at the Lithium-Bearing Migrating Terminus" Tetrahedron Letters. 33. 5795-5798 (1992)
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[Publications] 中井 武: "A Practical Synthetic Method for Enantio-enriched α-Hydroxystannanes" Tetrahedron Letters. 35(印刷中). (1994)