1994 Fiscal Year Annual Research Report
コンピューター・シミュレーションによる腐植物質の成分別構造モデル
Project/Area Number |
05453158
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Research Institution | Kyoto Prefectural University |
Principal Investigator |
米林 甲陽 京都府立大学, 農学部, 教授 (00046492)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
舟川 晋也 京都府立大学, 農学部, 助手 (20244577)
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Keywords | 腐植酸 / 疎水性樹脂 / 吸着クロマトグラフィー / 芳香族性 / 脂肪族性成分 / DMSO抽出法 |
Research Abstract |
腐植物質は極めて多様な芳香族性高分子有機酸の混合物であり、科学分解によって得られる化合物の数は、想像を絶する数となるため,元の腐植物質を再構築する試みは極めて困難のものとなる。 我々は、腐植物質が分子量、芳香族環数、官能基量のいずれもが非常に幅の広い分布を示す集合体であることから、分子の持つ電荷の性質と芳香族性の組み合わせに由来する疎水性の違いを区分し得る疎水性樹脂を利用して,化学的に類似した構成成分に分別することに成功した。これは,疎水性樹脂XAD-8を用いた段階溶出吸着クロマトグラフィーによって、腐植酸を、カルボキシル性成分、フェノール性成分、準脂肪族性成分、脂肪族性成分の4成分に分別する方法である。 各成分について元素分析、官能基分析(カルボキシル基、フェノール性水酸基、カルボニル基、アルコール性水酸基、メトキシル基)、^1H-NMR分析を行った結果,カルボキシル性成分は芳香族性に富み,カルボキシル基,カルボニル基含量が多く,脂肪族性側鎖の長さは短い。脂肪属性成分は芳香属性が低く,長い脂肪族性側鎖を持つことが明らかとなった。 しかし,疎水性樹脂を用いる分別法によって大量の試料を得るには,膨大な労力と時間を要するため,各種溶媒によって各成分の抽出を行うことを試みた。各種有機媒体による抽出条件を検討した結果,DMSO-HCI溶媒によって,腐植酸のカルボキシル成分をほぼ選択的に抽出できることを見いだした。このことは,カルボキシル性成分を多量に含む黒ボク土壌,同成分を余り含まない泥炭土壌のいずれの場合も,DMSOによってカルボキシル性成分の大部分が抽出されることから確かめられた。 さらに,DMSOで抽出した腐植酸を精製する過程でアルカリ処理を行うと腐植酸の分解が起こり収量が低下することを明らかにした。
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Research Products
(3 results)
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[Publications] 米林甲陽: "土壌肥料研究における新しい分析方法4 NMR法による土壌有機物の研究" 日本土壌肥料学雑誌. 64. 206-211 (1993)
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[Publications] 米林甲陽: "土壌構成成分解析法(II)(日本土壌肥料学会編)博友社" 腐植物質の平均化学構造推定法及びXAD樹脂による分画法, p.55-80 (1993)
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[Publications] Koyo Yonebayashi: "Humic Substances in Global Environment and Implications on Human Health." Humic component distribution ofhumic acids as shown by adsorption chromatography using XAD-8 resin., p.181-186 (1994)