1994 Fiscal Year Annual Research Report
抗ジベレリン抗体のGA認識部位アミノ酸配列をコードしたDNAの合成と応用
Project/Area Number |
05453163
|
Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
室伏 旭 東京大学, 農学部, 教授 (00011916)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
鈴木 義人 東京大学, 農学部, 助手 (90222067)
山口 五十麿 東京大学, 農学部, 助教授 (00012013)
|
Keywords | ジベレリン / 抗ジベレリン抗体 / 抗ジベレリン抗体遺伝子 / scFv / 植物の形質転換 / 一本鎖抗体 |
Research Abstract |
植物の各種生理現象を制御するジベレリンを認識する抗体遺伝子を用い、ジベレリンの生理作用を解析する新しい実験系を構築する目的で本研究を行っている。以下に本年度の研究実績を記す。 1.昨年度得られた抗活性型ジベレリン抗体遺伝子γおよびκのリーダー配列と可変領域の塩基配列を決定した。 2.1に基づいて作製したプライマーを用い、両鎖の可変領域をPCR増幅した。その際、V_H領域用のアンチセンスプライマーにV_HとV_Lを連結するリンカーペプチドをコードする配列を含ませた。両PCR産物をヴェクター上で結合し、リンカーペプチドを挟んでV_HとV_Lが繋がった一本鎖抗体(scFv)遺伝子を作製した。 3.scFv遺伝子を大腸菌用発現ヴェクター(pRSET,pGEX-2T)を用いて大腸菌内で発現させた。いずれのヴェクターを用いた場合にも、目的タンパク質の発現が電気泳動により確認された。これらのタンパク質は不溶性のものとして得られたため、変性剤による可溶化、アフィニティー精製に続く変性剤の除去およびS-S結合の再生によるscFvの再構成を試みた。変性剤を完全に除いた段階でタンパク質の大部分は再び不溶化したが、ラジオイムノアッセイによりジベレリンとの結合活性を測定したところ、微弱ながらも明らかに活性が認められた。 4.scFv遺伝子を植物導入用のバイナリーヴェクターに構築し、タバコに導入した。カナマイシン耐性を示す形質転換体が多数得られた。いくつかのクローンについてscFv遺伝子をプローブにしたノーザン解析を行ったところ、すべての形質変換体で予想される位置にmRNAのバンドが検出された、scFv遺伝子の転写が確認された。しかしながら現時点で形態的な変化は認められておらず、植物内でのscFvの生産、ジベレリンとの結合能を確認する必要がある。また今後、発現プロモーターの改善なども検討すべき課題と考えている。
|