1994 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
05453175
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
空閑 重則 東京大学, 農学部, 助手 (60012051)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
近藤 哲男 農水省, 森林総研・化工部, 研究員
磯貝 明 東京大学, 農学部, 助教授 (01918179)
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Keywords | セルロース / 酢酸菌 / 折りたたみ鎖 |
Research Abstract |
これまでの研究において帯状セルロース(セルロースII)を作る酢酸菌変移株(NB株)を恒温庫で培養した時少量のセルロースIが混じってくることが実験上の障害となっていた。そこで培養条件を詳細に検討した結果、以下の点が明らかとなった。 i)セルロースIの混入の主要な原因は恒温庫の機械的震動にある。この菌は液体培地の表面で増殖してセルロースを作るが、培地に常時震動が加わると、表面で生成したセルロース被膜が脱落し沈降する。このような条件では正常株(セルロースI産生性の株)が優勢になりやすい。 ii)液体培地の初期pHもセルロースIの混入の程度に影響を及ぼす。酢酸菌の通常の培養条件ではpH7.0で出発するが、これを4.0で行なうと正常株の増殖を抑止できる。 これらの知見に基づき、高純度の折りたたみ鎖セルロースIIを調製することが可能となった。このセルロース試料についてX線回折、赤外スペクトル、固体^<13> CNMRの測定を行なったところ、いずれの結果もセルロースIIの特徴を示した。電顕微鏡観察においてシャドウィングの技法により帯状セルロースの厚さを決定した。これらに基づき1個の折りたたみ構造単位(ヒモ状物)が約16本のセルロース分子から構成されるという構造モデルを構築した。セルロースの高次構造における水素結合の役割および人工合成系におけるセルロースIの生成との関わりにおいて、生体系でも分子鎖の折りたたみが起こり得るとの結論を得た。 正常株の作るセルロース(セルロースI)にある種の染料を吸着させた複合体に対し、染料を分解する化学的処理を行なうと、帯状セルロースと類似した形態のセルロースIIが生成することを見出した。これはまったく予想外の特異な現象であり、折りたたみ鎖セルロースの生成およびセルロースI→セルロースIIの結晶変態の分子的機構を解明する手がかりを与えると考えられる。
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Research Products
(6 results)
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[Publications] J,Lee,et al.: "Assembly of synthetic cellulose I" Proc.Nat.Acad.Sci.91. 7425-7429 (1994)
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[Publications] K.Kudlicka,et al.: "β-ghecan synthesis in the cotton fiber.IV.In vitro Assembly of cellnlose I allomorph" J.Plant Physiol.107. 111-123 (1995)
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[Publications] 空閑重則、他: "セルロースの化学合成系における重合結晶化" Proc.'94 Cellulose R&D. 1. 7-10 (1994)
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[Publications] H.Shibazaki,et al.: "Mechanism of chain folding in bacterial cellulse" Proc.ISF'94. 440-440 (1994)
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[Publications] T.Kondo,et al.: "Intermalecular hydrogen bonding in cellulose/polyethylene oxide blends:" Polymer. 35. 4423-4428 (1994)
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[Publications] Isogai,A: "Allomorphs of cellulose and other polysaccharides. in "Cellulosic Polymers"" Hanser,New York, 244 (1994)