1993 Fiscal Year Annual Research Report
プロラクチンによるシグナル伝達機構とT細胞機能制御に関する研究
Project/Area Number |
05453176
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Research Institution | Mie University |
Principal Investigator |
中島 邦夫 三重大学, 医学部, 教授 (40022800)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
細川 好孝 三重大学, 医学部, 助手 (60229193)
宇城 啓至 三重大学, 医学部, 助教授 (10151854)
田中 実 三重大学, 医学部, 助教授 (90024736)
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Keywords | プロラクチン / Nb2細胞 / 遺伝子発現制御 / G1 / S移行 / サイクリンD2・D3 / T細胞分化 / T細胞抗原γ鎖 |
Research Abstract |
1 ラットNb2細胞でプロラクチン刺激によって発現する遺伝子のクローニング 今回プロラクチン(PRL)のシグナル伝達機構並びにT細胞機能制御の機構を解析するためDifferential Screening法を用いて、PRLにより発現誘導される遺伝子のクローニングを行った。その結果、PRLはall or noneに、かつドラマチックにT cell receptor-γ鎖の発現を誘導した。更に、この発現はチロシンキナーゼを介していないことも判明した(投稿準備中)。今後、T細胞の成熟、分化におけるPRLの役割が明らかとなることが期待される。 2 Nb2細胞G1サイクリンcDNAsのクローニング また、高等動物の細胞増殖の制御機構を理解するため、PRL依存性に細胞増殖を示すラットTリンパ腫系Nb2細胞におけるG1/S移行の分子機構の解析を行った。フローサイトメトリーの解析により、G0/G1期に同調したNb2細胞はPRL刺激後8〜12時間でS期に進行することが判明したので、PRL刺激後4時間で発現しているG1サイクリンcDNAsのクローニングを行なった。G1サイクリンは、細胞周期とくにG1/S移行に重要な役割を担っており、種々の細胞内シグナルの最終標的であると考えられている。G1後期のmRNAをテンプレートとしてRT-PCR反応を行い、サイクリンD2及びD3をコードするcDNA断片を夫々単離した。一方で、full lengthのcDNAをクローン化するため、G1後期のNb2細胞mRNAから2種のλgt10 cDNAライブラリーを構築し、先に得られたサイクリンD2、D3のcDNA断片をプローブとしてスクリーニングを行った。この結果、ラット・サイクリンD2及びD3をコードするcDNAクローンを夫々得ることができた。これらG1サイクリンcDNAの塩基配列を解読すると共に、細胞周期に伴うmRNA量の変動をノーザンブロット法にて解析した。サイクリンD2の発現は、G1中期に上昇し、S期以前に急速に減少した。一方サイクリンD3の発現は、G1後期からS早期にピークに達した後、徐々に減少した。したがって、これら2つのG1サイクリンは互いに異なる役割を担っていることが示唆された(投稿中)。また、サイクリンC及びE、並びにE2F1についてもcDNA断片を単離し発現様式の解析を行った(未発表)。次いで、2種類のラットcdc2関連キナーゼのcDNAをクローン化した(投稿準備中)。さらに現在、サイクリンのゲノムDNAのクローン化を行い、その発現調節機構の解析が進行中である。
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