1993 Fiscal Year Annual Research Report
新規ロジウム(II)錯体を用いる高選択的炭素・炭素結合形成反応の開発
Project/Area Number |
05453177
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
橋本 俊一 北海道大学, 薬学部, 教授 (80107391)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
渡辺 信英 北海道大学, 薬学部, 助手 (80220911)
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Keywords | ロジウム(II)錯体 / 炭素-炭素結合形成反応 / 挿入反応 / ジアゾカルボニル / 位置選択性 / 不斉合成 / 2-インダノン / ビシクロ化合物 |
Research Abstract |
ロジウム(II)トリフェニルアセタート錯体を合成し、本錯体存在下、種々の挿入部位(メチル、メチレン、メチンおよび芳香環C-H)あるいはオレフィンが共存する系での分子内C-H挿入反応を体系的に行なった。以下にその結果を示す。 1.ロジウム(II)トリフェニルアセタート錯体(Rh_2(OCCPh_3)_4)はRh_2(OAc)_4等の既存のロジウム(II)錯体では実現できない選択性を示す。本錯体が示すメチレンC-H挿入への極めて高い選択性は、従来極めて困難な課題とされてきたビシクロ[3.3.0]オクタン及びビシクロ[4.3.0]ノナン骨格の位置及び立体選択的構築を可能にした。架橋配位子トリフェニルアセタートの嵩高さが選択性発現の要因と考えられる。 2.本錯体は芳香環C-H挿入への極めて高い選択性を示し(アルキルC-H挿入及びオレフィンへの付加環化に優先する)、各種2-インダノン誘導体の効果的合成法を提供する。 ここで得られた結果は、現在殆ど解明されていない本反応の機構解明への手掛かりを与えるものである。また、芳香環C-H挿入反応がロジウムカルベノイドによる芳香環への付加環化を経て進行する機構を示唆する結果が得られている。従って、これらの成果は、本年度に予定している光学活性カルボン酸を架橋配位子とするキラルなロジウム(II)錯体を用いる不斉触媒反応開拓への妥当性を与えている。
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Research Products
(3 results)
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[Publications] 橋本俊一: "Dirhodium(II) Tetra(triphenylacetate): A Highly Efficient Catalyst for the Site-selective Intramolecular C-H Insertion Reactions of α-Diazo β-Keto Esters" Tetrahedron Letters. 33. 2709-2712 (1992)
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[Publications] 橋本俊一: "Highly Selective Insertion into Aromatic C-H Bonds in Rhodium(II) Triphenylacetate-catalysed Decomposition of α-Diazocarbonyl Compounds" J.Chem.Soc.,Chem.Commun.1508-1510 (1992)
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[Publications] 橋本俊一: "Enhancement of Enantioselectivity in Intramolecular C-H Insertions of α-Diazo β-Keto Esters Catalyzed by Chiral Dirhodium(II) Carboxylates" Tetrahedron Letters. 34. 5109-5112 (1993)