1995 Fiscal Year Annual Research Report
超原子価ヨウ素化合物を用いる有機合成反応の開発とその応用
Project/Area Number |
05453182
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
北 泰行 大阪大学, 薬学部, 教授 (00028862)
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Keywords | 超原子価ヨウ素試薬 / ラジカルカチオン / フェノールカップリング / アザスピロジエノン / 1H-アゼピン類 / 環状ヨ-ジナン |
Research Abstract |
申請者らは最近、フェノールエーテル類を高極性で求核性の低い(CF_3)_2CHOHあるいはCF_3CH_2OH中、超原子価ヨウ素試薬PIFAの存在下に各種求核種(窒素、酸素、硫黄求核種)と反応させるとC-T complexからラジカルカチオン機構を経て求核種導入されるという全く新しい反応が首尾良く進行することを見出した。(J.Am.Chem.Soc.,1994,116,3684.; J.Org.Chem.,1995,60,7144.)今年度は、本反応を分子内反応、特に酸化的フェノールカップリング反応への応用を検討した。その結果、芳香環の置換様式によりスピロジエノン類あるいは、その転位体が比較的収率良く得られることを見出した。また、ノンフェノリックタイプの基質の場合には同条件の他、CH_2Cl_2中PIFA-BF_3Et_2Oを用いると収率が飛躍的に向上することを見出した。本反応は各種アルカロイド類の合成に応用可能である。 さらに、申請者らは以前にアミノキノン側鎖を有するp-置換フェノール類の分子内閉環反応を報告し、その反応を応用し、最近、ニュージーランド産海綿より単離されたdiscorhabdin Cの全合成にも成功した。今年度は本分子内閉環反応の拡張を目指し、o-位あるいはm-位にアミノキノン側鎖を有するフェノール類との反応を検討した結果、用いる基質の置換様式によりアザスピロジエノン類および1H-アゼピン類を作り分けられることを見出した。(J.Org.Chem.,1996,61,223.) さらに、今年度、申請者らは新規試薬として通常、反応活性なため単離が困難とされている超原子価アジドヨウ素試薬やシアノヨウ素試薬などを環状ヨ-ジナンにすることで安定に単離、構造決定することができた。(Heterocycles,1996,42,47.)今後は、これら環状試薬の不斉化や上述の反応を天然物合成に応用していきたい。
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Research Products
(5 results)
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[Publications] Y.Kita,H.Tohma: "超原子価ヨウ素化合物を用いる有機合成" 生産と技術. 47. 40-42 (1995)
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[Publications] Y.Kita et al.,: "A Novel and Direct Sulfenylation of Phenol Ethers Using Phenyl Iodine (III) Bis (trifluoroacetate) (PIFA) and Various Thiophenols" Synlett. 211-212 (1995)
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[Publications] Y,Kita et al.,: "Novel and Direct Nucleophilic Sulfenylation and Thiocyanation of Phenol Ethers Using a Hypervalent Iodine (III) Reagent" J.Org.Chem. 60. 7144-7148 (1995)
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[Publications] S Akai et al.,: "Preparation of Novel Cyclic Hypervalent Iodine(III)Compounds Having Azido,Cyano,and Nitrato Ligands" Heterocycles. 42. 47-51 (1996)
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[Publications] Y,Kita et al.,: "An Intramolecular Cyclization of Phenol Derivatives Bearing Aminoquinones Using a Hypervalent Iodine Reagent" J.Org,Chem.61. 223-227 (1996)