1993 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
05453188
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Research Institution | Ochanomizu University |
Principal Investigator |
畑江 敬子 お茶の水女子大学, 生活科学部, 助教授 (50156337)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
谷澤 容子 お茶の水女子大学, 生活科学部, 助手 (30227227)
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Keywords | クロアワビ / 周年変化 / オリゴペプチド態アミノ酸 / コラーゲン / 遊離アミノ酸 |
Research Abstract |
一般にクロアワビは夏期が最も美味とされているが、その実態は未だ明確でない。そこで本年度は、クロアワビ筋肉を対象に、食味の総合的評価に重要な要因である呈味、テクスチャーにつき、周年変化を調べた。 クロアワビ殻付き重量350g前後は三浦半島地先で採集したものを、アラメ・カジメを餌として神奈川県水産試験場で少なくとも2ケ月以上飼育し、2、4、6、7、8、10、12月に各3個体ずつ、これらの筋肉中央部を実験に用いた。一般成分は常法により測定した。ATP関連化合物はHPLCで、遊離アミノ酸およびオリゴペプチド態アミノ酸は日立835形アミノ酸分析計で定量した。さらに破断特性をレオナーRE-3305(山電)により測定し、別途ヒドロキシプロリン量から算定したコラーゲン量と比較した。 クロアワビ筋肉は水分70-80%、タンパク質13-18%、灰分1.3-1.9%、脂質0.3-1.6%であった。ATP関連化合物は総量3-5μmol/g程度で、ほとんど季節変化しなかった。しかし、遊離アミノ酸およびオリゴペプチド態アミノ酸量は、旬とされている6〜8月に最も高く、それぞれ約3000mgおよび300mg/100gであった。いずれのアミノ酸量も産卵期直前の10月に最も少なかった。同様にオリゴペプチド態アミノ酸量も、冬期には夏期の1/10程度となることから、クロアワビの呈味には遊離アミノ酸のみならず、オリゴペブチド態アミノ酸も関与していることが考えられた。 一方、破断応力は冬期に高く、夏期に低かった。対応して、コラーゲン含量は冬期に高く、夏期に低いことから、クロアワビの硬さにはコラーゲン含量が寄与していると示唆された。なお、夏期に遊離およびオリゴペプチド態のヒドロキシプロリンおよびプロリン量が増大したが、この変化とコラーゲン量の減少との代謝上の関連性は未だ不明である。
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