1994 Fiscal Year Annual Research Report
コバルト(II)イオンで活性化される中性α-マンノシダーゼの活性化機構の解析
Project/Area Number |
05453211
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
長谷 純宏 大阪大学, 理学部, 教授 (80028232)
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Keywords | マンノシダーゼ / 糖鎖 / コバルトイオン / ニワトリ / ピリジルアミノ化法 |
Research Abstract |
細胞内には中性α-マンノシダーゼを始めとして種々の糖水解酵素の存が知られている。その中で、細胞質に含まれるα-マンノシダーゼの精製や詳細な基質特異性についてはほとんど報告が無く、その役割もはっきりしていない。そこで我々は細胞質の中性α-マンノシダーゼの役割を解明するためウズラ輸卵管より中性α-マンノシダーゼを精製し(奥ら1991)基質特異性を調べた結果、この酵素は他のα-マンノシダーゼと比し極めて特異な水解様式を示す事が明らかとなった。この特異な水解様式より、この酵素は糖蛋白質のエンド-β-N-アセチルグルコサミニダーゼの水解産物(糖鎖部分)を基質としており、糖鎖の異化が行なわれているとされているリソソームとは明らかに異なった、新しい糖鎖の代謝過程の存在が初めて明らかにされた(奥、長谷1992)。本研究では、量多く得られるニワトリの輸卵管より同様の酵素を精製し、コバルト(II)イオンによる活性の発現機構を解明しようとするものである。 平成6年度では、得られたα-マンノシダーゼの活性化におけるコバルト(II)イオンの濃度依存性やその時のpH依存性を調べた。本酵素におけるプロテアーゼの関与を、コバルト(II)イオン活性化前後で、種々のペプチド合成基質を用いて調べ、また酵素の活性化の阻害をプロテアーゼ阻害剤を用いて調べた。これらの結果により、本酵素の活性化にはプロテアーゼの関与が示唆された。しかし、活性化の前後で本酵素の分子量に変化があるか否かをSDSPAGEで調べたが、明瞭な変化は見られなかった。今後は酵素の構造解析などさらに詳細な研究が必要である。
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Research Products
(8 results)
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[Publications] Jun‐ichi Toyota et.al.: "Identification of Trisaccharide Xyl α 1‐3Xy1 α1‐3 Glc in Human Urine." Biosci.Biotech.Biochem.58. 567-569 (1994)
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[Publications] Kaoru Omichi etal.: "Linkage Position Analysis of Pyridylamino‐disaccharides by HPLC of Fluorogenic Smith Degradation Products." J.Biochem.115. 429-434 (1994)
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[Publications] Jun‐ichi Toyota etal.: "A New Disaccharide Fuc α1‐2 Man Found in Human Urine." J.Biochem.115. (1994)
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[Publications] Nahoki Kuraya et al.: "Structural Analysis of O‐Linked Sugar Chains in Human Blood Clotting Factor IX." J.Biochem.114. 763-765 (1993)
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[Publications] Hiroyuki Shimizu et al.: "Structures of N‐Linked Sugar Chains Expressed Mainly in Mouse Brain." J.Biochem.114. 334-338 (1993)
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[Publications] Miho Tarutani et al.: "Structures of Sugar Chains of Hen Egg Yolk Riboflavin‐binding Protein." J.Biochem.113. 677-682 (1993)
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[Publications] Sumihiro Hase: "J.Chromatography Library 58巻" Pre‐and Post‐Column Detecetion‐Oriented Derivatization Techmiques in HPLC of Carbohydrates, 555-576 (1995)
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[Publications] Sumihiro Hase: "Methods in Enzymology 230巻" High‐performance Liquid Chromatography of Pyridylaminated Saccharides, 225-237 (1994)