1993 Fiscal Year Annual Research Report
生体適合性モノマーの歯質内重合による複合化と機能強化
Project/Area Number |
05453213
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Research Institution | Tokyo Medical and Dental University |
Principal Investigator |
中林 宣男 東京医科歯科大学, 医用器材研究所, 教授 (30014020)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
渡辺 昭彦 東京医科歯科大学, 医用器材研究所, 助手 (30126263)
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Keywords | 生体材料 / 生体適合性 / 歯科用材料 / 接着 / 象牙質 / 樹脂含浸層 / 4-META / MMA-TBBレジン |
Research Abstract |
歯は、一度疾病に冒されると組織の再生が期待できないため機能回復には人工材料の適用が不可欠である。従来硬組織を補綴する材料としては金属、セラミック材料が主として利用されてきたが、生体組織と材料との間に全く接着力が無いため、固定するためにはさらに多くの健全な組織を人為的に削去し物理的に結合しなければならなかった。本研究では、硬組織の疾病に対する新しい治療、予防法を提供すべく、新規な高分子材料の分子設計及び機能評価を目的とした。すなわち、硬組織内へのモノマーの浸透、拡散を促進し、なおかつ様々な修復物に対しても接着可能な組成物を調合し、これを用いてモノマーを硬組織内で重合、硬化させるという考え方で、モノマー拡散促進化合物として分子内に親水基と疎水基を有するメタクリル酸エステルを、親水基にジカルボキシル基(4-META)やリン酸(Phenyl-P)を選択して合成した。合成したモノマーをトリエチレングリコールジメタクリレート(TEGDMA)に溶解し、可視光線重合型触媒を利用して重合硬化させる、歯質接着性ライナーを調製し、その機能評価を行なった。引っ張り試験後の接着試料のSEM(現有設備)観察、接着界面のTEM(現有設備)観察などを行ない、表面脱灰象牙質に対するメタクリル酸メチル(MMA)-トリ-n-ブチルボラン(TBB)レジン(MMA-TBB系レジン)による接着メカニズムと研削象牙質への光重合型ボンディング材によるそれを比較した。これらの結果、4-METAやPhenyl-PはMMAの象牙質への拡散を向上させ、レジンと象牙質との界面に樹脂と象牙質コラーゲンが混合して硬化した“樹脂含浸層"を形成していることが明らかとなった。この樹脂含浸層の形成が接着に有効であるばかりか、歯質の酸に対する安定性についても向上させていることが判った。
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[Publications] 加藤 元: "リン酸処理象牙質へのレジン接着に及ぼす4METAアセトン溶液の効果" 歯科材料・器械. 13. 29-35 (1994)
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[Publications] 渡辺 功: "研削象牙質への接着に与えるPhenyl-P含有HEMA水溶液の影響" 歯科材料・器械. 13. 36-39 (1994)
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[Publications] 中林宣男: "人工臓器1993" 中山書店, 320 (1993)