1994 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
05454011
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Research Institution | National Institute for Environmental Studies |
Principal Investigator |
椿 宜高 国立環境研究所, 地球環境研究グループ, 総合研究官 (30108641)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
冨山 清升 国立環境研究所, 地球環境研究グループ, 主任研究員
永田 尚志 国立環境研究所, 地球環境研究グループ, 主任研究員 (00202226)
高村 健二 国立環境研究所, 地球環境研究グループ, 主任研究員 (40163315)
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Keywords | 野生動物 / 遺伝的多様性 / 左右対称性 / 自然選択 / 性選択 / 野生生物保全 / 個体群 |
Research Abstract |
メダカ(ムネビレ)における左右対称性のゆらぎ(Fluctuating Asymmetry,FA)は生長速度の速い個体で小さく、遅い個体で大きくなる。この原因として、遺伝的に劣った個体が生長速度が小さくFAも大きいという可能性(遺伝要因)と、競争的な条件が個体差を作り出したという可能性(環境要因)がある。どちらが重要かを検討するために、成育密度がFAに及ぼす影響を実験的に解析した。その結果、高密度では生長速度は小さくなるものの、FAにはほとんど影響を及ぼさないことがわかった。すなわち、FAの個体差の大部分は遺伝的な要因で説明できることが示唆された。次年度はFAの大きな系統と小さな系統を用いて交配実験を試みる予定である。 カワトンボに関しては、FAの評価法を再検討した。その結果、翅長よりも翅の色彩斑の面積のFAの個体の質をよく反映していることが示唆された。また、翅脈数のFAも個体差が大きいことがわかってきた。しかも、翅の部位によってFAの大きさが異なり、主要翅脈ではFAが小さく末梢的な翅脈では大きいこともわかってきた。これらの結果をもとに個体の繁殖成功度とFAの関連性を解析中である。 ユスリカのオスは群飛を行い、群飛に飛来したメスと交尾する。メスと交尾したオスと交尾していないオスの左右の翅長を比較したところ、交尾オスと非交尾オスとのサイズには差がなく、FAに差が見られた。また、遺伝子分析のための試料を蓄積しつつある。 ウグイス類について羽や足のFA測定数を蓄積している段階であるが、巣立ち直後の鳥と成鳥でFAに違いが見られることがわかってきた。
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[Publications] 椿 宜高: "適応度の指標としての左右対称性" 個体群生態学会会報. 50. 57-64 (1993)
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[Publications] Y.TSUBAKI: "Eggcluster size variation in relation to the Larral food abiundance in Luehdorfia puziloi(Lepidoptera:Papilicnidae)" Res.Popul.Ecol.35. 325-333 (1993)
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[Publications] 椿 宜高: "遺伝的多様性と左右対称性のゆらぎ" 科学. 64. 607-608 (1994)
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[Publications] Y.TSUBAKI: "Re-copulation and post-copulatoty mate guarding increase immediate female reproductipe output in the diagonfly Nannophya pygonsea Rambur" Behav Ecol Sociobiol. 35. 219-225 (1994)
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[Publications] 富山 清升: "小笠原諸島における陸産貝類の絶滅要因" Venus. 53. 152-156 (1994)