1993 Fiscal Year Annual Research Report
低温耐性型液胞膜H^+-ATPaseの存在とその分子構造特性に関する研究
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05454012
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
吉田 静夫 北海道大学, 低温科学研究所, 教授 (90001651)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
前島 正義 北海道大学, 低温科学研究所, 助教授 (80181577)
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Keywords | 低温耐性機構 / 液胞膜H^+-ATPase / 低温耐性型V-ATPase |
Research Abstract |
低温耐性のことなるヤエナリとエンドウについて低温傷害と液胞膜H^+-ATPaseの低温失活との関係について検討したところ、両者には密接な関係が確認された。これらの黄化実生から高純度で分離された液胞膜小胞の懸濁液にMg-ATPを加え、異なる濃度のchaotropic anionとともに低温(O℃)でインキュベートしたときの酵素失活について比較検討したところ、両者ではアニオンに対する感受性(濃度依存性)に著しい差異のあることが分かった。とりわけ、亜硝酸イオンに対する感受性の違いは顕著であり、低温感受性のヤエナリでは50mMで完全に失活するのにたいして低温耐性のエンドウでは500mMでも全く失活しない。ヤエナリの場合、亜硝酸イオンによる失活は硝酸イオンや塩素イオンと同様にV1-sectorがV0-sectorから遊離するためであり、酵素失活の機構には特別な差異は認められない。亜硝酸イオンに対する感受性は低温耐性型と非耐性型の酵素を識別する上で有効な手段と思われる。精製された酵素標品について一次元および二次元電気泳動によりサブユニット構成をしらべたところ、両植物ではサブユニットの一部(37、38、44kDa)に分子サイズの違いが認められた。また、V0(16kDa)の等電点にも大きな違いが認められた。ヤエナリの16kDaに対する抗体はエンドウの16kDaとは反応しないことから、両者の抗体認識部位が異なることも予想され16kDaサブユニットの分子構造の違いが酵素の低温安定性に関わっていると考えられる。現在、両植物から分離された液胞膜小胞についてV0とV1をそれぞれ交互に交換し酵素機能と構造安定性に与える影響について検討を進めている。
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[Publications] YOSHIDA.S.: "Low temperature-induced cytoplasmic acidosis in cultured mung bean(Vigna radiata〔L.〕Wilczek)cells" Plant Physiol.104(in press). (1994)
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[Publications] ZHOU,B.-L.: "Cold-induced alterations in plasma membrane Proteins that are specifically related to the development of freezing tolerance in cold-hardy winter whoat" Plant Cell Physiol.35(in press). (1994)