1993 Fiscal Year Annual Research Report
フシナシミドロの正から負への光屈性転換と膨圧調節機能の関連
Project/Area Number |
05454013
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
片岡 博尚 東北大学, 遺伝生態研究センター, 助教授 (30108568)
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Keywords | イオンクロマトグラフ / 膨圧 / 浸透圧 / 光屈性 / 耐塩性 / 藻類 / フシナシミドロ / Vaucheira |
Research Abstract |
フシナシミドロ(Vaucheria)は光強度の上昇により正から負へ光屈性の符号が変わる。長時間照射下では負光屈性はNaCl添加で促進された.NaClの効果は淡水産種(V.terrestris)と汽水産種(V.dichotoma)とで異なった.Caの添加は両種の耐塩性を高めたが,負光屈性の発現を促進しなかった.耐塩性の低い前種はNaClと等張のソルビトールの効果は等しいが,耐塩性の高い後種では150mM以下のNaClは無効でソルビトールのみが負光屈性を起こした.これは,1)膨圧低下が負光屈性の原因であり,2)前種は膨圧調節能がなく外液浸透圧の上昇が膨圧を低下させるのに対し,後種ではNaClを取り込んである範囲内で膨圧を調節する能力があるものの,膜非透過性のソルビトールでは膨圧調節がなされないため,膨圧が低下することが両種の違いの原因であると考えると説明できる. 本研究の目的は,上の仮説を検証するため,イオンクロマトグラフを用いて細胞の浸透圧と膨圧を測定することである.1台分の予算でカチオンとアニオンを効率的に測定するためメーカーに相談し,検出器,カラムをそれぞれ2組,ポンプを1台とし,2組の送液バルブで洗液と分離液を切り替える改造を行った.これにより,1)安価で,2)スペースをとらず,3)短時間で陰陽両イオンの分離検出を切り替えることができた.生重量十〜数十mgの藻体を1.0mlの純水で1時間煮た抽出液中のK^+,Na^+,Ca^<2+>,Mg^<2+>,NH_4^+,Cl^-,SO_4^<2->,NO_2^-,NO_3^-を測定し,非水相が生重量の15%と推定して細胞内濃度を得た.さらに,数種のアミノ酸と見られる未同定物質も検出できることがわかった.現在,抽出法と測定法を確立し,細胞内イオン組成,細胞内浸透圧の最尤計算法を探っている.
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Research Products
(1 results)
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[Publications] Kataoka,H.and Watanabe,M.: "Negative Phototropism in Vaucheria terrestris Regulated by Calcium III.The Role of Calcium Chracterized by Use of a High-Power Argon-Ion Laser as the Source of Unilateral Blue Light." Plant Cell Physiology.34. 737-744 (1993)