1993 Fiscal Year Annual Research Report
原形質流動の軌道としてのマイクロフィラメント束の配列安定化機構
Project/Area Number |
05454018
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
永井 玲子 大阪大学, 教養部, 教授 (90028192)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
高木 慎吾 大阪大学, 教養部, 助手 (10192626)
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Keywords | 原形質流動 / マイクロフィラメント / サイトカラシンB / アクチン / 末端壁 / オオセキショウモ |
Research Abstract |
本研究は、淡水産単子葉植物オオセキショウモの葉肉細胞で、原形質流動の軌道として働いているF-アクチンを主成分とするマイクロフィラメント(MF)束が細胞壁関与のもとに細胞内所定の位置に安定して配列されている機構を知ることを目的としている。 本年度は安定化の場を同定する実験を行った。この実験では先に得た観察に基づき、MF束が安定化を受けている部位では長時間のサイトカラシンB(CB)処理によってもMF束は破壊されずに残り、これらがMF束の再構築に際しては種として働くと考えた。実験の手順と結果 1)葉肉細胞の長軸に垂直な面(side wall)、及び長軸端に垂直な面(end wall)が露出するように葉の切片を切り出し、FITC-ファロイジンで染色した後、蛍光顕微鏡で観察し、数本のMF束が長軸を揃えて各面に平行に配列していることを認めた。2)CB(100μg/ml)で一定時間(6、12、・・・・48時間)処理した後、MF束の変化を追跡した。side wallでは6時間処理でMF束の破壊が始まり、24時間処理でMF束は完全に消失した。しかし、end wallでは48時間処理でもMF束の断面化は起こるものの消失せずに残った。このことからMF束はend wallで安定化を受けていると結論した。3)24時間CB処理後、CBを除去しMF束の再構築の過程を観察した。side wall、end wallで共に複雑な過程を経て24〜48時間後に正常なFM束の配列が再形成された。これに伴って光照射による正常な原形質流動の誘発が観察された。side wallにはMF束の再構築に種として働いていることを示唆する部位は認められなかった。4)CB処理後にside wallに残ったMF束が再構築に働いているかどうかを調べるため、CB処理前後にみられる流動の方向を計測した。48時間処理後でも流動方向を転換した細胞の数は全観察細胞数の32%にとどまった。このことは、end wallに残存するMF束が再構築に種として働き、再構築されたMF束の極性決定に貢献していることを示している。 以上の結果をまとめ、J.Cell Scienceに投稿中である。
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