1994 Fiscal Year Annual Research Report
原形質流動の軌道としてのマイクロフィラメント束の配列安定化機構
Project/Area Number |
05454018
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
永井 玲子 大阪大学, 理学部, 教授 (90028192)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
高木 慎吾 大阪大学, 理学部, 助手 (10192626)
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Keywords | 原形質流動 / マイクロフィラメント / 合成ペプチドGRGDSP / 合成ペプチドARYDEI / オオセキショウモ / 葉肉細胞 |
Research Abstract |
本研究は、淡水産単子葉植物オオセキショウモの葉肉細胞で、原形質流動の軌道として働いているF‐アクチンを主成分とするマイクロフィラメント(MF)束が、細胞壁関与のもとに細胞内所定の位置に安定して配列されている機構を知ることを目的としている。平成6年度は、MF束の安定化に寄与する細胞壁中の因子がどのようなものであるかについて検討した。動物細胞の細胞外基質蛋白質であるビトロネクチンは、分子内にアミノ酸配列RGDを持っている。膜貫通型蛋白質であるビトロネクチン受容体は細胞外でこの配列を認識し、細胞内でF‐アクチンの構築を支配するというモデルが提出されている。このモデルを下敷に、植物細胞でも細胞壁中にビトロネクチン様蛋白質の存在することが明らかにされている。そこで、これら機能アミノ酸配列を含む合成ペプチドの、原形質流動のパターン、MF束の配列への影響を調べた。(1)合成ペプチドGRGDSPを細胞外から与えると、流動パターン、MF束の配列は、ペプチド濃度に依存して著しく乱れた。対照ペプチドであるGRGESPは乱れをひきおこさなかった。(2)GRGDSPの効果的濃度はミリモルオーダーと高く、特異性に問題があると思われた。RGDモチーフと同等の性質を持ち、植物ビトロネクチン様蛋白質分子内にも存在するRYDモチーフを含むペプチドARYDEIを合成し、効果を調べた。同ペプチドはマイクロモルオーダーで流動パターン、MF束の配列の乱れをひきおこした。対照ペプチドとして合成したARYDEIは効果を持たなかった。以上の結果から、RYDモチーフを持つ蛋白質が細胞壁中に存在し、MF束の安定性に寄与している可能性が強く示唆される。現在、同ペプチドに対する抗体を作製し、細胞壁中での分布をつきとめる実験を準備中である。
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Research Products
(3 results)
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[Publications] Ryu,J.-H.,Takagi,S.,Nagai,R.: "Stationary organization of the actin cytoskeleton in Vallisneria:the role of stable microfilaments at the end walls." J.Cell Science. 108(in press). (1995)
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[Publications] Mineyuki,Y.,Masuda,Y.,Kataoka,H.,Nagai,R.: "Dynamic changes in the actin cytoskeleton during the high‐fluence response of the Mougeotia chloroplast." Protoplasma. (in press). (1995)
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[Publications] Dong,X.-J.,Takagi,S.,Nagai,R.: "Regulation of the orientation movement of chloroplasts in epidermal cells of Vallisneria:cooperation of phytochrome with photosynthetic pigment" Planta. (in press). (1995)